2018-01-01から1年間の記事一覧

大掃除と由良の門と

今年の年の瀬は、大掃除、お宮参りと結構忙しい。掃除した部屋から、歌留多が出てきた。正月歌留多をすることもなくなった。 恋歌留多 蘆のかりねも 由良の門も という森澄雄の正月の句を思い出した。 難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひ…

亀岡の砥石

桜石の産地周辺には、さらにお宝の山があるのを知った。 亀岡市の湯の花温泉をなお、篠山、福知山方面に進むと、高品質の砥石がとれる丸尾山がある。最近、休日の料理が趣味になったので、包丁を研ぐ砥石には興味津々だ。 調べると、亀岡市のふるさと納税の…

丹波の桜石

京都の嵯峨野の寺と縁ができてから、嵯峨野から保津川を遡っていった丹波もまた、興味深い地であることに気づいた。嵯峨野の寺に、丹波の俳人、西山泊雲、野村泊月の句碑があるように、山陰本線で丹波と嵯峨野はしっかり結びついている。 夏に、丹波の亀岡か…

鼠の怖さがわからない

本を鼠の害から守った猫を、北宋の詩人、梅尭臣が称えたが、鎌倉時代に作られた最古の武家文庫「金沢文庫」にも、猫の伝説が残っている。 文庫を創設した北条実時(1224-1276)が鼠から典籍を守るため、中国猫を輸入したというものだ。 また、日宋…

イチョウと鴨の足

師走も半ばとなって、銀杏がやっと真黄色に輝きだした。 銀杏は、「オウキャク」と言われているのが、気になって調べてみた。「鴨脚」と書く。 銀杏の葉が、鴨の足に似ているのでそう呼ばれたのだという。中国・江南地方では、「鴨脚」をヤチャオと発音する…

漱石忌とうちの初代、2代目猫

知人がフェイスブックで、ジョン・レノンが殺害された当日の思い出を書いていた。 12月8日、私は石坂敬一さんの元へ、東芝EMIに飛んで行ったのを覚えている。その石坂さんも泉下の人となった。 その翌日は、漱石忌なのだと最近知った。 我が家の猫は、…

法科をほうかと読み替えて

駿河台下の銀杏並木がようやく色づきだした。銀杏の句には、有名な 銀杏散るまっただ中に法科あり という山口青邨の東大本郷の銀杏を描いたものがあり、ついつい思い出してしまう。大昔、小学校の授業で、俳句の時間が週一回あったので、五七五が身体に染み…

1冊の古本から恒友と龍蔵に辿り着く

そんなことで、画家森田恒友と鹿島龍蔵氏のつながりをさらに調べるとー。 国立近代美術館に収蔵されている森田作品20点(油彩、日本画、素描、墨絵淡彩の画帳)は、すべて龍蔵氏の子息(父といっしょに震災後の町を歩いた次郎氏)が、昭和30年に寄贈した…

きっかけは龍蔵蔵書

仕事場の近所、神保町の古本店に立ち寄って、2冊ほど書籍を購入した際、 「それは、鹿島龍蔵さんの蔵書だったんですよ」とご主人が話しかけてきた。 話によると、書庫の蔵ごと手に入れたらしい。平積みしてある「工藝」など、店内には同氏の蔵書がたくさん…

車馬図の陶印を見つけた

神田淡路町界隈には、古い店舗があって興味深い。 ランチ休憩の帰り、いつも前を通るハンコ屋を覗いた。 来年の十二支『亥』のハンコが店の外のワゴンにおいてあったからだ。 店内には、ペルシャ、シルクロードの印章など、興味深いものが飾ってあって、店主…

京都・法勝寺九重塔の風鐸を想像する

中国・洛陽の九重塔の風鐸について記したが、かつて日本にも九重塔が建てられていた。 11世紀後半、白河天皇(法皇)によって京都に創建された法勝寺(ほっしょうじ)の九重塔。15世紀の応仁の乱で壊滅し、今は京都市立動物園になっている。 「日本の歴…

ダルマと九重塔の風鐸

昔、モンゴルの寺院を訪ねたときに、2階の軒の隅に吊るされた風鐸が揺れて、音が鳴り続けたのを覚えている。草原の風が強かったのだろう。 同行した女性歌手Kさんが「あの鐘はなんといったらいいのか知ってる?」 と聞いた。 「風鐸だと思います」。 すん…

メキシコの黒曜石鏃

つくばの筑波実験植物園に細が行きたいというので、息子夫婦の運転で出かけた。散策の後、土産売り場に黒曜石の鏃の複製品があったので買った。メキシコ製とあり、途端に興味が沸いたのだ。おそらく、国立科学博物館の施設なので、あちらの土産物を此処でも…

描かれていたワーズワースの犬

英国ヴィクトリア朝を代表する動物画家がいて、湖水地方ヘルヴェリンの忠犬の絵を描いているのを知った。 その犬は前回推定したテリアではなかった。 画家はエドウィン・ランドシーア(1802-1873)というロンドン生まれで、トラファルガー広場のラ…

ワーズワースの忠犬に出くわした

英文学者の工藤好美さんを追いかけているうちに、英国ロマン主義文学のことも少し理解しないとならなくなった。 工藤さんは、昭和6年(1931)に「コウルリヂ研究」を上梓したが、コウルリッジはワーズワースの友人で知られるロマン主義の詩人。工藤さん…

新しき村を訪ねてみた

武者小路実篤の設立した「新しき村」は今どこにあるのか、調べてみると、知人の住む埼玉県日高の近所の毛呂山町だった。 台風24号が来る前の日、息子の運転で村の中にある「武者小路実篤記念 新しい村美術館」を訪ねてみた。時計を後戻ししたような静かな…

3-40年代台湾と白樺の残り香

古本屋で俳人富安風生(1885-1979)の「霜晴」(昭和19年3月15日発行)を買って、家に帰って目を通すと、なんだか見てはいけないような本だった。 「温和な作風」で通り、芸術院会員にもなった俳人は、日本軍の真珠湾攻撃の句を先頭に、折々の…

野良猫、野良犬と山頭火の交流

青空文庫で、俳人の種田山頭火の日記に目を通すと、たくさん心惹かれるものと出くわした。 例えば、犬と猫との逸話。1940年10月11日に松山市の一草庵で57歳の生涯を終える前に、犬と猫が「一草庵日記」に登場する。ともに野良である。 10月2日…

赤いニシンのこと

「赤いニシンってなんだ」 USオープンテニスの女子決勝で、敗者のセリナ・ウイリアムズが審判に、「SEXISM(女性差別)」だと抗議し続けた行為は、赤いニシンだ、とBBCのHPで、英国のプロテニス選手グレグ・ルーゼドスキー氏が書いていた。 RE…

古川敬さんの「山頭火の恋」

毎日、同じ通勤電車の同じ車両に決まって乗って来る男性会社員が、今日は顔を見かけなかった。なにかあったのか。あるいは、今朝がた大地震があった北海道の出身なのだろうか、と気になった。 山頭火と工藤好美さんのことを書いて後悔している。書く前に、古…

工藤好美さんと山頭火

分け入っても分け入っても青い山 笠にとんぼをとまらせてあるく 知人が放浪の俳人、種田山頭火を題材に短編映画を撮ったので、上映会に行ってきた。知人の来し方と山頭火の放浪人生を重ねていた。 山頭火については、自分なりにずっと気になっていたことがあ…

ネコと鉱山

我が家のネコは、夜になると元気になって、一緒に遊びたがる。 未明にトイレに起きようものなら、走って付いてくる。足にすりすりし、戻る時に、餌を置いてある「猫部屋」に先に駆けて行き、空になったご飯のおねだりか,釣竿のネコジャラシで遊ぼうという強…

築地に猫投入案

我が家の猫が前脚で、虫をいたぶっていると思ったら、チャバネゴキブリだった。 ゴキブリが出たか! 紙でつまんですぐ、捨てた。 その後、朝、死んでいるチャバネゴキブリを発見するようになった。 猫がいたぶって殺したのだろう。 今年はゴキブリが多いな、…

三輪山とチイサコベ

鉱山の採掘は小人が行っていたという伝説は、北欧、英、ドイツなどゲルマン系の人々の間に残っている。 小人は、採掘のほか、鍛冶、刀作りに異彩を放っていたというものだ。 19世紀生まれの英国のコーンウォール州の牧師で、民俗学、考古学者でも知られる…

不思議な婆像

千葉・長南町の「笠森観音」を訪ねたとき、山門に意外な像が安置してあった。坂東三十三観音霊場の三十一番札所、鎌倉時代から大いに栄えた寺院(笠森寺)である。 正面左右には風神・雷神。これはありかな、と思ったが、裏面右に閻魔大王、左には婆が、爺と…

不思議な神像

少子部の話は、暑さの中で、頭が混乱してきたので、ちょっと休憩。 小旅行(猫がいるので遠出できない)で、見かけた気になる神像の整理をしてみた。 1)高麗神社水天宮の山道で見つけた神像 団扇のようなものを右手に持って、あごひげがあるので、初めは七…

スガルと三輪山・鉄採掘団

スガル(蜾蠃)について、これまで、何回か触れてきた。 日本書紀に登場する少子部蜾蠃(チイサコベ・スガル)について、ふと思いついたことがあるので、メモしてみる。 きっかけは、河上邦彦氏の「三輪山と鉄」という文章を読んだことだ(「網干善教先生古…

トタン屋根の猫と電柱の猫

なぜ、土産の埴輪の話になったかというと、猫が書棚の最上段にのぼり、置いてあるものを、前脚で落としているからだ。 フォトスタンドを落とし、皿、鉱石、箱と落としまくり、とうとう埴輪も落ちてきた。 かまって欲しいための示威行動で、捕まえて棚の上か…

奈良土産の関東出土埴輪

奈良土産の埴輪が捨てられない。 小学生の時、母親やきょうだいと奈良観光旅行をしたとき、土産物屋で見つけて、欲しくなったのだ。 「こんなのがいいの?」と皆に言われたのをかすかに、覚えている。 その後、女人埴輪のモデルは、奈良はもちろん、関西地方…

都の兎と冷やし中華の謎がとけた

京の知人は、祇園祭宵山の様子をFACEBOOKに上げていた。「38度を超えて汗だく」だと。昨年同様、函谷鉾、菊水鉾、占出山と回ったようだ。 昨年、祇園祭の宵山の昼、皆で貴船の右源太で川床料理を楽しんだが、店の襖で見つけた兎のデザインの由来が…