2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

トマス・グレイの猫哀歌

弔いで猫に数珠を持たせた英文学者・福原麟太郎(1894-1981)は、トマス・グレイやチャールズ・ラムの日本への紹介で知られるが、このうちトマス・グレイ(18世紀の詩人・歴史家)についていえば、彼もまた、猫の詩を書いていた。 私は知らなかっ…

猫に数珠

新年恒例の、高校時代のクラスメートの会合が自由が丘の蕎麦屋であった。 隣に座ったS君が、昨年末12年飼っていた猫が亡くなったと、がっかりしていた。別邸として使っている亡き両親の郊外の家の庭の片隅に、50センチほどの穴を掘って埋めたところ、気…

榊原政職氏の遺著のこと

夭逝した考古学者榊原政職氏の遺著が目の前にある。 300頁を超える立派な「人類自然史」(内外出版、大正12年)。日本の石器時代の文化の研究から、世界全般の人類の研究に及ぶ著作であった。 前に触れた熊本県の轟貝塚の発掘の1か月後、血尿を訴え、…

パデレフスキ髪伝説の出どころ

ボストン駅での、ピアニスト・パデレフスキと靴磨き少年のエピソードを、どうして、薄田泣菫が手に入れて書いたのか。きっとネタがあったのだろう。ちょっと探ってみた。 1917年に薄田は書いているが、パデレフスキの初渡米は1891年。26年前のこと…

泣菫が取り上げたパデレフスキ

神保町の猫のいる古レコード店で見つけては買い込んでいるピアニスト・パデレフスキのLPレコードが溜まってきた。なにせ、1860年に生まれ、1941年に亡くなっている世代の演奏家なので、時々音楽会に一緒に行く知人に話をふっても、まったく興味を…

考古学者「榊原政職閣下」のこと

「黒猫」を書いた薄田泣菫に興味を持って、随筆を読み始めている。「茶話(ちゃばなし)」には、明治、大正期の名だたる政治家、作家、画家、学者の素顔を描き、時に笑い飛ばしている。歴史学者の喜田貞吉もお婆さんのような笑顔をからかわれ、「広辞苑」の…