2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「犬猫人間」の装丁

長谷川如是閑にばかりとらわれていられないが、随筆集「犬猫人間」(改造社)の本の作りも変わっている。 手元に古本店から入手した大正13年の初版本があるが、表紙の題字が絵文字なのだ。函があったのかは不明だが、表紙は御覧の通りで、これだけ見たらタ…

スピッツ犬「シロ子嬢」を読む

猫をきっかけに、長谷川如是閑(1875-1969)の文章を少しばかり読んでみると、大変変わった人物であるように思えた。 1. 人間より犬が好きだと公言し続けていたこと。 2.「断じて行わず」をモットーに、決して行動の人とならなかったこと。 一…

如是閑の猫たち

古い雑誌に目を通していると、猫を題名にした本の広告が掲載されているので興味深い。長谷川如是閑「犬・猫・人間」(改造社、1924=大正13年5月)もそのひとつ。大正デモクラシーのジャーナリストが、どんな風に猫を描いているのか、取り寄せて読んで…

風鐸と瑠璃瓦

モンゴルの寺院で、音を鳴らしていた軒の風鐸の名を同行者に聞かれたとき、「ふうたく」と答えられたのはどうしてだろうかと、前に思い出を書いた時思ったが、それは、一篇の詩の記憶からだった。 「甃のうへ」(いしのうえ)という三好達治(1900-19…

蛇に見立てた猫の尻尾

ヌエ(鵺)のことで、猫と蛇に触れたが、猫を観察していると、尻尾が蛇に似ていると思うことがある。とくに、左右にクネクネと振る時。 高浜虚子の戦時下の俳句に猫の尾に触れたものがあった。 昭和18年4月25日、小石川植物園御殿「冬扇会」での披露句…

「不猫蛇」ってなにか

俳聖・松尾芭蕉の没後には、弟子たちの激しい対立があったようだ。猫の名がついた「不猫蛇」という書を、蕉門十哲の越智越人がものしているのを知って、どんな猫蛇だと興味を持って、のぞき読みしたところ、同じ十哲の各務支考に喧嘩を売っている内容だった…

「化けさうな傘」を巡って

芭蕉の元禄ごろの俳句と違って、蕪村に代表される江戸の中ごろの俳句は、同時期に生まれた雑俳、川柳なども併せて見てみないと全体像がつかめないのかもしれない。 そう思ったのは、昭和2年の雑誌「江戸時代文化」を読んでいた時。雑誌編集で出来た空白の埋…

正午前の猫の目時計

猫の目で気になっていたことが氷解した。 午前11時45分ごろの猫の目 窓辺で秋の陽を浴びて寝転ぶ猫は、きつい表情に見える。理由は円らな筈の目の黒い瞳が縦に細くなっているからだ。光量を調節しているのだと、今では誰でもが知っている。 フランスの詩…