2014-01-01から1年間の記事一覧

品川宿散策の補足

品川寺に、亀趺があった。 宝篋印塔と彫られた宝塔(ちっとも宝篋印塔の形でないが)を背負っている。 この獣首の亀趺は、18世紀に流行し、儒家の墓や墓碑に造られている。品川寺の近くには、同じ首を持った亀趺の、沢庵和尚顕彰碑が東海寺の大山墓地にあ…

浮世絵師大竹政直の鳥の絵

散歩すると、たびたび古本市に出くわし、買ってしまう。読みきれないで次々たまってゆく。なるべく、絵のあるものを買うことにした。 明治25年発行の幸田露伴編「寶の蔵」(復刻版)には、絵が沢山掲載してあった。明治の画家3人が挿絵を担当している。気に…

品川宿散歩のメモ書き

北品川、新馬場を歩いた時に、目を引いたものをメモしておく。 1 如意花頭 品川千躰荒神堂の窓 以前福島県いわき市の高蔵寺三重塔を訪れた時に、こういう窓があるのを知った。 安永3年(1774)建立の高蔵寺 禅宗様の花頭窓の変形で、形を如意珠に似せて…

坐る鹿、振り向いて足を上げる鹿

京浜急行の新馬場駅の近くに、品川神社がある。先週末、細と出かけたら、境内裏手に、板垣退助の墓があり、その墓前灯篭に鹿が彫られていた。 カエデの下に鹿が座って、後ろを向いている。 板垣退助は、大正8年に亡くなっているから、大正期の灯篭だろう。 …

明治20年、野ウサギのヒエログリフ

前にも触れたROBERT・K・DOUGLASの「CHINA」という英語の本は、水道橋にあったビブリオ書店で、主人の川村さんから安く譲ってもらったものだ。 1887年、ロンドンで発行されたもので、清朝の風物のイラストが興味深い。文中に、古代エ…

薬草シモツケと行者ニンニクと

秩父札所32番。奥の院にむかうと、すぐ山林だった。修験道の修行の山道でないか、とおもった。秩父の札所14番など、修験道との関係は深い。 秩父は、「行者ニンニク」が名産であり、荒川の道の駅では、行者ニンニク入りソフトクリームを売っていた(食べ…

秩父札所に咲いていたシモツケ

先週、秩父の32番札所で、おもいがけない岩のぼりをした。 途中で、花をみつけた。 シモツケだった。 下野の国(栃木県)に、ちなんで名づけられた、らしい。下野以外でも、日本中の山野で、さいているのに、なんでだろ。 「枕草子」に、野の花、シモツケ…

PONDS IMPASSE=池袋にもジョウビタキは飛来する

2年前だったか、その年の初寒波が首都圏を襲った朝、池袋の繁華街の茂みの枝を、カラフルな小鳥がせわしなく飛び移っていた。スマホで野鳥図鑑を検索して、ジョウビタキ=尉鶲であることを確認した。 今朝も、寒波がやってきたので、街中の茂みを期待して探…

匈奴の王墓の鳥を詮索する

モンゴル内の、匈奴の墳墓群、ノイン・ウラ遺跡の第1号墓から出土した木棺漆絵に、飛翔する鳥の絵がえがかれている。 梅原末治「古代北方系文物の研究」(1938)に、紹介されている。 この鳥の種類をしりたいが、なかなか難しい。 漆の地は、茶色で、鳥…

シラサギの黄色い足指でコサギを判別したこと

橋の上から、潮の引いた運河をのぞいてみると、サギが餌をさがしていた。 鳥に興味をもちだしたばかりだから、シラサギの内の、ダイサギ、チュウサギ、コサギの区別がつかない。 大きさである程度は想像できても、確信がない。やはり、先達の教えは、ありが…

オワゾリール=コトドリのレーベルだった

江戸時代や、中国の清のころもまた、「ことばを真似る鳥」への好奇心が、美しい鳴き声や美しい姿よりも、まさっていたのだろう。 金300目もする九官鳥に対して、孔雀は120目。九官鳥の方が、2.5倍も高く取引されていた。(1756年の取引) とこ…

茶杯に描かれた籠の鳥はハッカチョウか

良い茶が手に入った時には、青花の小さな茶杯でのむ。谷中を歩いていて、ひょんなことから景徳鎮小雅窯の茶杯を3つ買ったのだ。 開放経済後、中国は採算重視になって、景徳鎮の高度な技術は危機的になった。それを日本からも支援して守っている窯らしい。 …

カルガモは紀皇女には似あわない

秋になって、鳥たちも生き生きしている。休日に近所を散歩すると、側溝からサギが飛びあがって、電線にとまった。側溝をのぞくと、獲物のザリガニがいた。 小川にはカルガモが4羽にいて、頭をもぐらせて餌をさがしていた。 殆んどのカモが外国にわたってし…

鎌倉芳太郎の故郷の大獅子舞

やっと、与那原恵「首里城への坂道」をよみだした。 沖縄の恩人、鎌倉芳太郎をえがいているので楽しみにしていたのだが、読出しでいきなり、鎌倉の生地が香川県木田郡三木町(旧・三木郡氷上村)と知って気持ちが別のものに飛んでしまった。 最近気になって…

「相撲立ち合い獅子」と名付けてみる

先週の休日、東京国立博物館の展覧会へ行ったとき、本館で、伝統模様のスタンプコーナーを見つけて、獅子のスタンプ=写真上=を押して持ちかえった。(コーナーに、はがきが用意してあった) なんだか、相撲の立合いみたいで、以前にみつけた大正時代の京都…

猫は家に宿る守護霊ドモヴォイらしい

新居にまず猫をいれるロシアの風習について、ヒントをみつけた。 栗原成郎氏「ロシア異界幻想」(岩波新書、2002)の、第2章の「家の霊域に棲むもの」。 東スラブ人(ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人)の伝統的な農家イズバーには、祖霊の化身であ…

銀行の猫サービスの不思議な理由

モンゴル新聞「オノードル(今日)」のWEBサイトをみていたら、猫ビジネスの記事があった。 ロシア大手の、ロシア貯蓄銀行(モスクワ本店)が、住宅ローンを申し込んだ顧客に、猫をプレゼントする企画をはじめた、というのだ。 ロシアでは、新居に入ると…

S先生ハヤブサに魅せられる

スチュワートさんは、この夏ハヤブサに魅せられたようだ。 夏休暇をすごした英国のグロスターシャーで、ICBP(国際猛禽類センター)を見学したという。英国でもっとも歴史ある猛禽類センター(1967年創設)で、入るとすぐ、訓練された猛禽類が、野外で一…

カナダの雁とエジプトの雁が喧嘩?

英会話のスチュワート先生が、夏休暇を終えて英国から帰ってきた。 鳥に関する土産話をもってー。 親父さんと、ロンドンの南、ギルフォードでゴルフをしたときのこと。コース内の池で、鳥同士が複数であらそっていて、その喧嘩ぶりが半端でなかったという。 …

南インドカレー店賛歌と、鷹やカワセミのビール

2年ほど前から、休日の夜に南インドカレーの店にゆく。 南インドのカレーが流行りだしたころからだから、われわれは、単に、はやりっ子の一員だったのだ。 温かいトマトスープや、ホウレンソウ風味のタンドリーチキン。しだいにメニューに感心するようにな…

イソヒヨドリの命名から推測した海洋文化圏

イソヒヨドリは、ヒタキ科ツグミ亜科なので、英名は、BLUE ROCK―THRUSH=青い岩場のツグミ。 モンゴル名も、ホホワトル ハドニィ タルガルジ=青い岩のツグミ。 中国名も、藍磯鶫=藍色の磯にいるツグミと、ツグミの仲間にしている。 ところが…

夏の終わりに壱岐のイソヒヨドリを思い出した

壱岐の勝本漁港で、夏休みを過ごしたことがある。 港に沢山のいか釣り船が停泊していた。 つりさげられた集魚灯は、予想以上に大きく、よく磨かれていて数も多かった。 夕方、発電機で灯ると、予想以上に眩ゆい光だった。 沖合に出航すれば、この光につられ…

長年、部屋にいるアブラ蝉

部屋に木の油蝉がとまっている。 子どものころ、東京・青梅市の御岳山に、父と歩きにいった時、土産物で木彫りの蝉がおいてあったのだ。 裏には、御岳山と彫られ、壁や木に止められるように、短い針先がでている。この針のおかげで、幾度の引っ越しにたえて…

首里の玉陵にもひもを噛む石獅子が

噛む獅子は、沖縄・首里にもある。 世界遺産、琉球国王の墓所「玉陵(たまうどぅん)」の、赤い矢印のあたり。 ひもを噛んだ石獅子が立っている。 シーサー(獅子狛犬の沖縄版)ともちがう獅子像だ。こちらはオスで、メスは手前の屋根に立っている。 都合3…

神獣鏡の竜虎たちは獅噛みのオリジンか

学生の頃、暇つぶしで、三角縁神獣鏡の虎や竜の絵をしらべ、ノートに書きうつしたことがあった。 虎と竜は対で表現されていることが多いが、区別するのは、角のあるなし。 しだいに、角があるのが竜とわかった。 ともに、帯のようなもの(巨)を口にくわえて…

ネコや虎や獅子が噛む話

ネコに額をかじられる寝苦しい夜をすごしているが、まだ、甘噛みなのでゆるしている。頭を噛まれた思い出は、子供のころ、獅子舞の獅子頭くらいか。無病息災のおまじないだといわれ、順番をまって、噛んでもらった。健康にそだつというより、頭がよくなるか…

猫に額をかじられながら虎食人卣の夢を見る

さいきん五体投地のような格好をする猫 わが家の猫は、年齢不詳。息子がもらってきたときは、12歳はとうにこえている、とのことだった。 4年たっているから、16歳をこえた勘定になる。 猫は、人間でいうと1年が5年にあたるというから、 16×5=80…

幻の猫はリボンを後ろに結ぶブチ猫

平泉の銀造猫は、奥州藤原氏が源頼朝に倒された時に、没収されたお宝の品目のひとつだったが、「吾妻鏡」には、ほかに金造鶴など計14品目がしるされている。 「象牙の笛」、「不縫布」は、葛西清重、「玉幡」、「金華鬘」は小栗重成と宝の蔵を発見した武将が…

12世紀猫の6態に感心する

古代、中世に「猫の美術」はないと、おもっていたら、春日大社に12世紀、平安末期の猫のお宝があった。 「沃懸地螺鈿毛抜形太刀」。 猫の6態がかたどってある。「仏教芸術266号」(毎日新聞社、2003年)をとりよせて、 巻頭の、猪熊兼樹氏「春日大社の沃懸…

平泉の銀猫は高山寺の猫バージョンか

1186年、鎌倉で、頼朝が西行に手わたした「銀作猫」 1189年、平泉の蔵で、みつかった「銀造猫」 どちらも銀で制作した猫だろう。 当時日本には、猫の「美術」はない。 だが、中国の宋(960-1279)にはあった。 宋の写生画に、徽宗の猫、李迪…