2016-01-01から1年間の記事一覧

犬の星に乗って

見上げれば、冬の夜空に青白く光るシリウス。 余すところ今年も10日となってしまった。 詩人の笹沢美明が12月のあとは13月が来るのだと思えばいい、という詩を書いていたと記憶する。でも、それは無理だ。 オリオン座の近く、全1等星のなかで最も明る…

鳥に食べられた大文字草

朝、大文字草の花が鳥に食べられた、と細が声をあげている。なるほど花弁のほとんどが、蕊だけになっていた。 食べに来たのは、ヒヨドリあたりだろう。昨日近くの沼を散歩して居たら、しきりにヒヨドリが鳴いていた。明朝もまた、食べ残しを狙ってやってくる…

乱れた十二支が紛れていたのは誰の古墳か

師走に入って、せわしなくなったのに、鏡の呪文などというどうでもいいことを調べ出してしまった。 休日、ジムで汗を流しながら、考え続けている。 上は、後漢時代の中国鏡。十二支の漢字が時計回りに、子(青〇)からぐるりと四辺に3文字ずつ書かれている…

青銅鏡の銘文から空想してみる

古代の青銅鏡の擬銘文を解釈するのは絶対無理だろう。前回書いた、4世紀後半の新山古墳から出土した方格規矩四神鏡。でも、やってみる。仮定に仮定を積み重ねた空想に近いものになるだろう。 上が、十二支。下が、乱れた十二支。 子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥 …

不思議な十二支の間違え

来年の年賀状の束が机に置かれている。 そろそろ準備しろという、細の催促だ。面倒だ、じつに面倒だ。 未申酉戌亥・・・・。 来年は酉年か。 そうそう、古代の日本製の青銅鏡に、なぜだか、十二支の乱れた銘文があったはずだ。 子丑寅卯辰と初めの5文字はあ…

焼かれたカササギはだれの怨霊か

AUDUBONのかささぎ かささぎについて、妙な話(扶桑略記、拾遺往生伝)がある。 10世紀の初め、平安時代。天台宗山門派の僧(玄昭)が、宇多上皇の亭子院で修法中、真言宗の高僧真済の霊がかささぎの姿になって玄昭の前に現われるというものだ。 玄…

オノコロ島に居たのもハクセキレイか

3年前に噴火して12倍の広さになった小笠原の西之島新島に、調査団が初上陸した様子をNHKが報道していた。 ぼんやりと見ていたら、アオツラカツオドリ、カツオドリ、セグロアジサシ、オナガミズナギドリの海鳥に混じって、ハクセキレイの目撃談が出てき…

家持と道真のかささぎの歌

かささぎ続き 大伴家持の歌が、百人一首にある。かささぎが登場する次の歌だ。 かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける 中国の伝承に、「かささぎの橋」がある。七夕の夜に、織姫と牽牛を取り持って、かささぎが天の川の懸け橋になると…

悦話堂のかささぎロゴマーク

かささぎの話のつづきー。 本棚から、かささぎのロゴマークがある本が出てきた。 はるか昔のことを思い出した。 親しかった大学のクラスメートが、突然韓国の大学で日本語の先生になり、しかも現地で結婚式をあげるというので、家族3人でお祝いにソウルに出…

「たま」について当座の結論は

博多の山笠にあった、磯野家の猫たまは、どこの猫なのだろう。 サザエさんに関しては、多くの人が調べているので、大体のところが判っているようだ。 猫は、原作に登場する猫と、アニメで登場する猫が違うらしい。 白猫たまは、アニメ版の猫だった。 1)た…

博多のサザエさん、桜新町のサザエさん

友人ら3人で、淡路町で飲んだ。別れ際「家どこだっけ」と聞くと、「桜新町、サザエさんの町です」と永田町に勤める一人が言った。 「桜新町だったのか。サザエさんの町は、桜新町ばかりでなくて、博多にもあるのを知っているかな」と聞くと、「ほんとなんで…

福岡・宗像旅行のささやかなメモ

福岡県の宗像市を旅してきた。 赤間の唐津街道では、民家の玄関に、猿の面が掛けてあった。 申年だから、と思ったら、違った。近くにある猿田彦神社のもので、2月の初庚申なのか、正月なのかは分からないが、参詣後、家に持ち帰って玄関に、家の厄除け、招福…

寒がり猫と泥棒かささぎ

神田神保町の猫の居る古レコード店へ行く。 レコードの上に猫がいない。 寒くなったので、奥の部屋で温まっているのだという。 最新入荷の箱の中に、フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団のLPが沢山ある。 かささぎの写真が使われている1枚があった。英…

博多で見つけた仙厓もなかとインドネシア猫

福岡から昨日戻った。福岡空港で土産物を探していたら、仙厓の最中があったので、何も考えずにすぐ買った。仙厓のことは、前にも書いているが、菓子になるほど世に知られるようになったのかと思った。 江戸時代の禅僧、仙厓(1750-1837)は、美濃(…

幻の五輪向けホテルのロビーを飾った朝井画伯

長崎・丸山町を歩く。レトロ風の交番があって歴史ある建物かと思ってしまう。実は、1970年代から80年代のバブル期にかけて建った新しい建築だった。 歴史の遠近法は難しい。 現代の目で昭和11年の朝井閑右衛門画伯と新制作派の三田康画伯たちを判断するのは…

長崎でまた閑右衛門画伯のこと

長崎で仕事を手伝った。丸山町界隈の坂道を歩きながら、朝井閑右衛門のことをまた考えた。 文部省が日本美術界の統括を企て、帝展を改組した昭和10年当時、朝井は帝展に反旗を翻した「第2部会」の若い画家たちのグループに寄り添っていた。10年か11年…

朝井閑右衛門展で三田康を想った

練馬区立美術館で開催中の「朝井閑右衛門展 空想の饗宴」を見にいった。先々週。朝井閑右衛門(1901-1983)に関心を持ったのは、仮面と幻想の画家アンソールとの類似を指摘した文章を読んでからだ。 「日本のアンソール=朝井閑右衛門の仕事は、鳥…

印度ジャイプールの玩具に出合う

激しい雨の中、細に誘われて、ビル全館で行っている各種問屋の特別セールにやってきた。12階、11階と上から順々に下りて、各階にある問屋を回る。人混みの中、細に付いて歩く。ほとんど興味がない店ばかりだが、古びた玩具や民芸品を扱う店があった。 店…

猫が出て来る「マザーグース」のとんでも解釈

英国人のスチュワート先生と毎週会うので、英国の質問をいつも持ってゆく。 猫の出て来る「マザーグース」について、思いついたことがあったので、ぶつけてみた。 その歌は、猫とバイオリン。 Hey、Diddle、Diddle、 The cat and t…

駿河台下の珈琲店の鳥

お盆休みに仕事。というか、駿河台下の事務所で留守番だ。昼時、外に出ても大半の店は閉まっている。 18日あたりから開きだしたので、ほっとする。80歳の女性が切り盛りする私の大好きな古い珈琲店に出かけると、客が帰ったところで、誰もいない。 壁に…

暑い夜、タマムシから鞍作鳥を想像する

タマムシが家の近くの舗道に落ちていた。暑さにやられたのだろうか。もう動かなかったが、輝きは失われていなかった。 子供のころ、近所のお兄さんに付いて昆虫採集に行った。都内でも昆虫が豊富だったのだ。トンボ、蝶のほか、カミキリムシやミンミンゼミ、…

猫の帰巣本能あれこれ

我が家の猫は家猫。外に出るのは、猫の病院に連れてゆくときぐらい。車の窓から、不安そうに外の流れゆく景色をみつめている。往復ずっと、真剣に外をみているのは、道を覚えようとしているかのようだ。どこかで放されても、帰ることができるように目に景色…

逃げた山猫は生まれ故郷へ戻っているのだって?

家に帰ろうとしているのか。英国南部のプリマス郊外の動物園に到着した日に、檻から逃げ出したカルパチア山猫の2歳のオスはその後、捕獲されていない。この山猫がプリマスに連れて来られるまで住んでいた、生まれ故郷の英ケント州の野生公園に向かっている…

山猫座と、どんぐりと山猫

英南部デヴォン州のプリマス市近くの動物園から、山猫が脱走して、地元で大騒ぎしている、と英国メディアが伝えている。ケント州の動物園から移送した翌日、係員が逃走したことを発見。住民に危険を知らせ、罠を仕掛けたり、警察がヘリやドローンを飛ばして…

キャロル・キングの猫の名前が気になって

ロンドンのハイドパークで、7月3日にBSTフェスが開幕、74才になったキャロル・キングが登場して、71年発表の「TAPESTRY(つづれおり)」の収録曲を歌って、6万5000人の観客を沸かせた、とBBCのWEBが伝えていた。 BSTはブリテ…

立石鉄臣さんの貝の絵を再現してみる

西永福の友達の歯科医に寄ってから、府中市美術館に出かけた。立石鉄臣さんの展覧会。豊富な立石さんの世界が展開されていて、すばらしい内容だった。 1930-40年代、台湾で装幀や挿絵を手掛けた本や雑誌が展示されていたが、女子高校生が熱心にメモを…

蝶の襖絵なんかのんびり見ている暇はないのだった

仕事で出かけた福岡県飯塚で、旧伊藤伝右衛門邸に寄ってみた。筑豊の炭鉱王の豪邸で、華族で歌人の柳原白蓮が妻として約10年暮らした時のよすがが残っている。 たたき上げの50歳の炭鉱王と、25歳の華族令嬢の結婚は、明治末年の大きな話題となったが、…

上野の山で漱石が口ずさんだのは「こうもり」序曲でなかったか

熊本から戻った翌日の夜、誘われていた東京藝大奏楽堂のコンサートに出かけた。根津駅から言問通りの坂をのぼって、上野の山に出る。新しい仕事場から、近いことを実感する。 サンサーンスの「オルガン付き」を聞いて、友だちとまた根津に戻って、おお田で飲…

立石画伯と柳宗悦との出会いをおさらいした

前回記した戦後の座談会で、立石鉄臣画伯は、台湾を訪問した民芸運動家・柳宗悦のもたらした意味について、はっきり語っていた。 気になって、岩波文庫「柳宗悦 民藝紀行」(水尾比呂志編)をぱらぱらとめくって見ると、「台湾の民藝について」という文章に…

うれしい立石鐡臣展の知らせ

昨年5月、銀座の泰明画廊で画期的な「立石鐡臣展」が開かれて1年、また5月に府中市美術館で「立石鐡臣展―麗しき故郷『台湾』に捧ぐー」が開催される。5月21日から7月3日までと長期間なので、多くの人たちの目に触れる機会となる。なんだか、とてもうれしい。…