2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

マンクス猫でひと休み

戦時下の文学者や芭蕉のことやらで頭が一杯になったので、ちょっと休憩。猫の本に目を通す。 英国ウエストサセックス州の街ゴリン=バイ=シーの古本店から届いた、尻尾のない猫のマンクスについての本「A DE-TAILED ACCOUNT OF MANX…

昭和5年のラグビー記事

「ラグビーが今日の様に盛んとなり、運動に興味を持っている人々の話題に上り、試合の見物人も萬を以て数へるようになったことは全く驚くより外はない」 古雑誌をめくっていて、こんな文章に出会った。2019年の雑誌でない。1930年(昭和5年)「改造…

「欲得離れ」た日比野士朗の遺作

作家・日比野士朗の遺作「芭蕉再発見-人間芭蕉の人生」(新典社)を、苦心しながら読んでみた。専門的な芭蕉研究だった。しかも、芭蕉の書簡の読み解き、弟子や後世の芭蕉伝記の比較検討と、基礎的な探求を続けていた。 まえがきで「この考証を始めてからま…

仙厓と菅木志雄

しばらくサボっていたジムの帰り、玄関脇に立てかけられているチラシに目が行った。菅木志雄の名前があった。 チラシは、古典×現代2020という企画展。来年3月と開催は先だった。古典作品と現代作家とを組み合わせて展示して、両者の親和性を楽しもうと…

日比野士朗と舟橋聖一

「東北文学」で座談会をした両作家舟橋聖一、日比野士朗との戦時下の接点が気になって、石川肇「舟橋聖一の大東亜文学共栄圏-「抵抗の文学」を問い直すー」(2018年、晃洋書房)を読んでみた。舟橋のしたたかな生き方が描かれていた。 大政翼賛会によっ…

大政翼賛会前後について

杉森久英の「大政翼賛会前後」(88年、文芸春秋)を読んでみた。なぜ、岸田國士が大政翼賛会の文化部の部長になり、また辞めたか、知りたかったのだ。 大政翼賛会は、近衛文麿の個人的な国策研究機関「昭和研究会」を母体に、1940年に発展的に設立され…

昭和19年、広津和郎の日記

広津和郎の「大和路」には、昭和19年の戦局悪化のころの日記が掲載されていて、これも興味深い。 1944年6月10日、海軍報道部長・栗原悦蔵大佐から招待を受けて、麻布飯倉の水交社に出かけたときの様子が詳しく書かれている。 広津のほかに、小泉信…

「大和路」に描かれた文学報国会

作家・日比野士朗の大政翼賛会のころの様子を知りたい。少しだけだが、杉森久英が「大政翼賛会前後」で触れている。愛想のいい人物で、岸田國士が大政翼賛会文化部長に就任した時、さそわれて、副部長に就任したと記している。岸田は1940年に部長になっ…