2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

天平時代のキョンシー

猫と僵屍を調べて行くうちに、妙な事が分かってきた。キョンシー、僵屍の考えが日本に伝わったのは、はるか昔の奈良時代。それも仏典を通してで、しかも、僵屍は、「殺人兵器」だというから、驚いてしまった。 キョンシーは「起屍鬼」と表記されて「本願薬師…

江南の蚕猫と僵屍伝承

猫が死体をキョンシー(僵屍)として生き返らせる話が、中国にあることを知ったのは、劉金挙・夏晶晶「近代初頭に至るまでの日本文芸における『猫』」(札幌大学総合論叢46号、18年10月)でだった。 WEBで閲覧出来て、「確かな記録はないようである…

通夜のキョンシー説話と蚕猫

死体に猫が近づくと死体が起き上る下総国の話が、平岩米吉「猫の歴史と奇話」(85年、動物文学会)に記されている。 「小金の脇の栗ヶ沢村(現、千葉県東葛飾郡)という所のやもめ暮しの老女が死んだ時、土地の若者どもが戯れに三毛の大猫を捕えて死人の上…

あの書店は小倉の金栄堂だった

半世紀近く前のこと。萩に仕事で向かい、乗換え駅の山陽新幹線の小倉駅で下車した。書店を見つけてこれから先の旅で読む本を買ったところ、本をくるんだブックカバーに目が行った。デザイン・伊丹十三の名前があり、新鮮な驚きを感じたことを鮮明に覚えてい…

寅彦の飼猫、三毛と玉

短編なのに、最後まで読み通せない作品がある。子母澤寛(1892-1968)の「ジロの一生」(「愛猿記」=56年、文春新社)。あまりにけなげなジロという犬が悲しくて、涙で最後まで読み切れないのだ。 可愛がれていたジロだが、新米の飼犬アカに主人…