2017-01-01から1年間の記事一覧

嵯峨・二尊院で見つけた勅使門の椿

2017年気になったこと(2) この夏、嵯峨の二尊院にある勅使門で、椿の紋を見つけた。 気になったので、すこし考えてみる。 まず、水天宮の紋が立ち椿なので関連を調べたが、勅使門が再建されたのが永正18年(1521)と古い。水天宮の安産とはつな…

2017年に気になったこと

ことし出会って、気になったことの整理。 1)祇園祭の函谷鉾の前垂れのゴブラン織り「水を汲む女」 1718年 豪商沼津宇右衛門が寄贈したベルギー製。旧約聖書創世記「イサクに水を供するリベカ」を題材にしたという。 以下、アブラハムが息子イサクの嫁…

ウラルトゥ湖底遺跡と猫のヴァン

泳ぐ猫、ヴァンが暮らしていたトルコのヴァン湖の水中で城壁が見つかったと話題になっている。 紀元前9世紀から紀元前6世紀に繁栄していたウラルトゥ王国のものとされ、1キロに亘り続いているのが確認された。150m位水位が低かった当時に建設され、そ…

ネモを通してフランス犬の命名について知ったこと

新しい猫の名前は、さんざん考えて、結局、前の猫の名前の一部をとって「ころりん」に決まった。命名は難しい。 フランス大統領マクロン夫妻は、就任後、慣例になっている大統領官邸の犬(ファースト・ドッグ)を、アニマル・レスキューセンターで選ぶことに…

猫を貰い受けた

断り続けていた猫を結局貰い受けた。 庭に出没する野良猫を、家猫として慣らして飼っている夫妻から、話があったのだ。 郊外にある家を訪ねて、車で家に運んだ。 はじめは、警戒して、物陰に隠れてしまい、何も食べず、トイレにも入らない。 3日経ち、4日…

日馬富士が象だった時

象のノート(11) しばらく、象のメモを書き留めてきたが、いささか、疲れてきた。 もう打ち止めにしようと思ったが、モンゴル相撲の「象」について触れておかねば。 モンゴル相撲には、強者の称号がある。最高位から順に 「アヴァルガ」 「アルスラン」(…

捕物帳に出てきた白象

象のノート(10) 江戸時代の山王祭で白い象の作り物が登場したことを、久生十蘭の「平賀源内捕物帳・山王祭の大象」(1940)を読んで知った。 神田祭並みの大祭だった日枝神社の山王祭は、神田祭と隔年開催で幕府の肝いりで始まった。祭礼は6月15日。各町…

台風23号は「象」という名の台風

象のノート(9) 台風21号が去った。鉄道ダイヤが乱れ、台風一過、超満員電車に乗って出勤した。今度の台風で初めて気づいたのは、21号に「LAN」という名がついていたこと。 けげんに思って調べるとー。 ハリケーンにイルマなど名が付いているように…

末摘花の象鼻

象ノート(8) 現代京ことば訳の「源氏物語」(中井和子訳)があるのを知って、第1巻から読み出したところ、末摘花の巻に「象」のことが出てきた。 ひっそりとわび住まいの姫君に興味を持った光源氏が、幾度か通い、やっと姫の姿を目にする場面。座高が高…

ボリス・ジョンソンが注意されたキップリングの詩について

象のノート(7) 「ジャングルブック」の児童小説で知られる英国の詩人、小説家のキップリング(1865-1936)は、ノーベル文学賞の受賞者でもある。英国統治下のインド、ムンバイで生まれ、ロンドンで少年時代を過ごした後、インドの新聞記者としてアジア(日…

007と象のパドロック

象のノート(6) 毎週会う英国のスチュワートさんは、小さなダイヤル錠を持っている。昨夜別れる時に、「よく見えないので、数字をあわせてくれませんか」とダイヤル錠を渡された。 000とゼロが縦に3つ並んでいた。 数字を合わせたつもりで、真鍮のツル…

緑のスーツを着た小象のババール

象のノート(5) 「ぞうのババール」という子ども向けの絵本がある。僕はフランスの作曲家プーランクの曲「小象ババールの物語」(45年)から、この絵本にたどり着いた。 1931年フランスの絵本作家ジャン・ド・ブリュノフが、象のキャラクターの絵本…

秋の夜CDで見つけたフランス画家の作品たち

秋に入っても、水盤に紛れ込んだ小さな魚は元気に泳いでいる。眼が大きく、身体が細い。めだかでないことは分かる。もう一月以上経過したことになる。 餌は何を与えていいか分からないので、水だけ数日おきに新たに注いでいる。そのせいか、身体が大きくなら…

板室温泉で見つけた蝶の推理小説

夏の終わりの一日、板室温泉に細と出かけた。 前々から、泊まってみたい旅館があったのだ。若い頃、前衛的な作品を作っていた、とある美術家に興味をもっていたところ、その美術家の作品を庭や室内、屋根などに展示してある温泉旅館があるのを知って、なんだ…

和田山出土の神獣鏡の象

象のノート(4) 平安時代の象に触れたが、日本に象の絵が伝わったのはもっと前、古墳時代に遡る。 この絵は、京都府朝来市和田山にある円墳「城ノ山古墳」出土の三角縁神獣鏡の模様の一部。出土した6面のうち、2面に象が鋳られていて、魚、蛙、鼈、鳥、…

帝釈天の象からゾウハナが

象のノート(3) 神社仏閣の柱上部に、象の彫り物があるとなんだかうれしくなる。「象鼻」という。同じような彫刻物でも、獅子や獏は、装飾性が強すぎる。 象鼻が生まれたきっかけは、鎌倉時代の東大寺再建。中国・宋の建築様式が移入されたためだ。「大仏…

描かれた明代紫禁城の象たち

象のノート(2) 明代、北京の紫禁城正面に象が並ぶ銅版画があって、初めて見たときから気になっている。 メンデス・ピントー「アジア放浪記」(江上波夫訳、昭和30年、河出書房)の挿絵で、午門に向かって賓客が進み、左側に、乗って来たと思しき象車の…

象のノートにはまず酔象を

象のノート (1) 将棋に「酔象」という駒があった。この駒が前々から、気になっている。酔象といっても、酔った象でなく、興奮したオスの象と解釈されている。 日本で平安時代から行われてきた駒の多い「大将棋」などのほか、現在と同じ「小将棋」でも酔象…

象のウンチ製ノートを貰った

息子夫婦がやってきて、動物園の土産をくれた。変わったノート。なにかあるな、と思ったら象のウンチで作ったノートだった。 売上げを象の保護などに使っているらしい。スリランカ製だった。 調べてみると、象のウンチで紙を作る試みは、ケニアで始まったよ…

水盤に泳ぐ夏の気がかり

亀の浮き玉を入れた水盤が、先月から玄関に置いてある。昨年の盆栽市で手に入れた浮き玉だ。 亀2匹だけでは寂しいので、細が水草を買ってきて入れたところ― なにか、外に飛び出して跳ねるものがあったという。そっとつかまえて水に入れたら、小さな魚。水草…

売れ行きを心配する波郷の編集後記

先輩が歌舞伎の本を秋に上梓するが、初版が500部。それも売れるか心配だから、数冊買ってほしいと飲みながら頼まれた。いいでしょう、いいでしょうと仲間で励ました。出版不況で比較的大手の出版社でも、こんな初版の数になってしまっているのだ、と複雑…

祇園祭で見かけた生きものたち

知人たちに誘われて、京都へ祇園祭の前々日の宵々山から出かけた。 祭のことは皆が伝えているので、祭の期間中に出くわした「生きもの」たちをご紹介。 顔付じゃがいも 宵々山の夕、錦市場近くの八百屋で見つけた。じゃがいもに眼、眉、口が描かれていた。 …

嵯峨野六月の空

京・嵯峨野の6月の空 蓮の咲く水面に映る空 いろは紅葉も 天竜寺 愛宕山を遥かに見つつ川下り 蝶が横切る 保津川 猫の神社の神苑で一服し見上げた空 梅宮大社 紫陽花の群の奥 透けて見える青空 梅宮大社 少し昔の嵯峨野の様子は、高桑義生さん(1894-1…

比良のシャクナゲ、脊振のシャクナゲ

銀杯草がすくすくと鉢植えで育っている。 嵯峨野のお寺に咲いていた植物を幾種類も頂いて持ち帰ったもののひとつだ。住職が汗水たらして、スコップで掘り起こしてくれたのだった。今回は大量に頂き、家で確かめると、シランなど7種類もあった。有難い。 近…

大正時代「雀おどり」のイラスト

洋画家で版画家の森田恒友が、大正時代に表紙、挿絵にかかわったと思われる学術誌「歴史地理」。前にこのことは幾度か書いているが、大正6年第2号で興味深いカットを見つけた。 笠を被って、3人が踊っている。両腕を前に突き出したり、前屈したり、両腕、…

駆け込み寺とキリシタン

嵯峨野の天竜寺大方丈で、朝こんな、下がり藤の紋を見つけた。 なんだか、紋の上部にある三つ葉の葉柄が、十字架に見える。古いものではなさそうなので、紋を彫ったときにたまたま十字になったのかもしれない。 寺と十字架―。この組み合わせで、ふと鎌倉・東…

話題は蝶からハヤブサに

久しぶりにスチュワートさんと会う。やっと、昆虫採集のことを聞く。 「英国でも小さなこどもたちはやってますよ」という。 「じゃあ、スチュワートさんは?」 「やったことないです」 「そういえば、一昨日、近所の河川敷で先生に連れられ幼稚園児が、みな…

スチュワートさんに英国の初蝶のことを聞かなくては

スチュワートさんに会ったら、英国の蝶のことを聞いてみよう、と思っていつも忘れてしまう。やはり子供のころ、昆虫採集をしたのかどうか。 初蝶はどうだろう。英国には日本のように、初蝶という概念はないようだが、その年に、それぞれのチョウが初観測され…

初蝶がクロアゲハ

今年の初蝶は、クロアゲハだった。長年生きてきたが、初めてのことだ。 その年はじめてみる蝶は、たいていモンシロチョウだった。理由は単純で、アブラナで幼虫が成長するので、春先にいち早く孵化したのだ。なにしろ都内でも沢山飛んでいた。モンキチョウは…

パンペリーとモナドノック山

米国ニューハンプシャーの図書館からは、「ラファエル パンペリー」の本は、廃棄図書ではないこと、でも、そのまま、手元において読書を楽しんでください、という丁寧なメールが来た。 パンペリーに関連して、図書館の西方にあるモナドノック山のことも書か…