装丁家

墓とニューヨークについて

「鼠」の版画を見て、版画家関野準一郎に関心を持ったと、前に書いた。その後、店仕舞いした本郷の古書店で、画伯の画文集「街道行旅」(昭和58年、美術出版社)を見つけた。勘定すると、おかみさんは「関野さん」と懐かしそうにつぶやいた。中川一政にも…

蛙の装幀

五輪女子ボクシングで金メダルを獲った日本の大学生が、「カエル」が好きだというので興味を覚えた。 長塚節「土」を調べていて、昭和16年に改版された春陽堂の単行本の表紙が「蛙」の絵に変わったのに気づいたところだった。装幀、絵は平福百穂とも縁のあ…

オダマキと枇杷

日本画の平福百穂が描いた、長塚節「土」(明治45年、春陽堂)の扉絵の、紫の花を、細に見せた。開口一番「オダマキ!」。意外な答えが返ってきた。 WEBでチェックすると、オダマキに見えないこともない。 日本に生息するオダマキは、ミヤマオダマキ、…

「土」の装幀をめぐって

長塚節「土」の復刻版を古書肆から取り寄せた。明治45年の春陽堂の箱入り菊版上製を、1984年に復刻したものだ。目に付いたのはー。 美しい装幀 色違い(代赭色)でより大きな活字で組まれた夏目漱石の序 装幀のイメージとは全く違う、延々と続く茨城の…

白秋の「群蝶の舞」

「多磨」は、白秋没後11年経って、終刊(昭和28年)となる。没後、編集人の名義は妻のキク(菊子)だが、編集担当は中村正爾、木俣修らの歌人が代わって行ったようだ。 昭和23年の1月号からは、木俣修から泉甲二に変わったのが、同号の「月報」で分かる。「…

白秋の絵と大正4年「雲母集」

北原白秋の墓は、多磨霊園にある。年2度の細の実家の墓参りで、周りの区画を歩いていて白秋の墓に出くわした。随分と大きな目立つ墓だった。 白秋は晩年、杉並・阿佐ヶ谷で暮らしていたようだ。白秋が発行していた短歌雑誌「多磨」。Y書房で手に入れた「多…

神保町散策と白秋の美術

神田神保町界隈を散策する。コロナ騒動の見舞いがてら、古本店Yに顔を出す。若きご主人は、「もう、土日は正月のようですね」という。近くの高層ビルで働く連中もテレワークで、通勤しなくなったよし。確かに人影はまばら。商売の方は?「ネット販売で凌い…

「犬猫人間」の装丁

長谷川如是閑にばかりとらわれていられないが、随筆集「犬猫人間」(改造社)の本の作りも変わっている。 手元に古本店から入手した大正13年の初版本があるが、表紙の題字が絵文字なのだ。函があったのかは不明だが、表紙は御覧の通りで、これだけ見たらタ…

消えた文庫本の気になる装丁

オフィスの近所に、古本店「手文庫」がある、というかあった。 文庫本ばかり扱っていて、仕事の帰りに立ちよった。 結構知らない昔の文庫本があるのだった。 創芸社の出した「近代文庫」は、存在すら知らなかった。 創芸社の住所を見ると、ご近所の千代田区…

垢石の本で遅まきながら茂田井武を知る

たぬきと鬼と河童が酒を飲んで寝ている。 片肘をつき狸、河童はウトウトしているが、鬼はうつ伏せて、はや爆睡。 釣り随筆の先駆的存在、佐藤垢石の『狸の入院』の表紙絵の一部だ。 面白い絵だな、と思う。本は、昭和27年発行。戦前、戦後のまだ、日本の森…