改造

小説家のころの犬養健

大正14年「改造」7月号には、谷崎潤一郎、佐藤春夫のなまなましい小説に挟まれて、犬養健(いぬかい・たける)の「兼介とその通信」という小品が掲載されていた。 英語辞書編集の孤独な作業に疲れ切った教師の主人公が、妻と5歳の長女とともに、信州の避…

雑誌「改造」-大正14年のケース

総合誌「改造」を発行した改造社について、理解が足りないので、松原一枝「改造社と山本実彦」(2000年、南方新社)を手掛かりにしてみた。 大正8年(1919)に発刊された雑誌「改造」は、政治家を志望していた鹿児島・薩摩川内出身の山本実彦が、政…

「犬猫人間」の装丁

長谷川如是閑にばかりとらわれていられないが、随筆集「犬猫人間」(改造社)の本の作りも変わっている。 手元に古本店から入手した大正13年の初版本があるが、表紙の題字が絵文字なのだ。函があったのかは不明だが、表紙は御覧の通りで、これだけ見たらタ…

スピッツ犬「シロ子嬢」を読む

猫をきっかけに、長谷川如是閑(1875-1969)の文章を少しばかり読んでみると、大変変わった人物であるように思えた。 1. 人間より犬が好きだと公言し続けていたこと。 2.「断じて行わず」をモットーに、決して行動の人とならなかったこと。 一…

如是閑の猫たち

古い雑誌に目を通していると、猫を題名にした本の広告が掲載されているので興味深い。長谷川如是閑「犬・猫・人間」(改造社、1924=大正13年5月)もそのひとつ。大正デモクラシーのジャーナリストが、どんな風に猫を描いているのか、取り寄せて読んで…