長谷川如是閑にばかりとらわれていられないが、随筆集「犬猫人間」(改造社)の本の作りも変わっている。
手元に古本店から入手した大正13年の初版本があるが、表紙の題字が絵文字なのだ。函があったのかは不明だが、表紙は御覧の通りで、これだけ見たらタイトルは分からない。
ずいぶん大胆で、著者の如是閑の人となりを表しているのだと理解するほかない。
絵文字の題字の下のイラストも不思議な絵だ。スフィンクスのように正面を見つめているこの動物はなにものか。頑丈な鎖をつけられていて、猛犬らしいが、猫と人間を混ぜ合わせたキメラと見えないこともない。
装丁者が分かるといいのだが、現段階では分からない。
奥付の著者検印もユニークだ。イニシャルのN・Hを筆記体で繋げたもののようだ。左下の◇は、ナカグロなのだろうか。