鞍馬山の領収書印

神田には、関東大震災直後に建てられた古い建築の居酒屋があり、昼を食べに行く。 高い天井の下、土間に据えられた大卓で、焼き魚などを食べる。 昼は静まり返っていることが多い。 コロナ自粛の前は、夜は酔客であふれ、店外に列が出来るほどだ。近くの蕎麦…

象のイラスト入り判子

江戸時代後期、江戸神田の粉屋に生まれた石塚豊芥子(1799-1861)は、古書の収集に精出し、山東京伝ら当時の売れっ子作家と付き合う文人だった。 文化10年(1813)年に長崎の出島に到着した象に関心を持ち、100年ほど前の享保年間に渡来した象…

首里之印、普猷の印

書棚にある伊波普猷の「古琉球」(昭和17年)を開くと、大きな印章の写真が掲載されている。 清の康熙帝からの冊使が、琉球国王に送った「琉球国王之印」。 清と琉球国間でやり取りする文書で使用するものだ。国王の尚質(1629-1668)が、康熙帝に…

ひとまず休止の甲鳥書林探索

猫の検印に出くわしたのが始まりだった。 甲鳥書林の検印紙が気にかかり、少しずつ調べてみると、また気にかかることが出てくる、といった具合だ。 甲鳥書林の検印紙は、それぞれ、大きさやデザイン細部が違って居る。 大きな堀辰雄の検印紙は、5.5㌢×4.8㌢…

麦南句集の印

甲鳥書林の書籍のなか、「人音 西島麦南句集」(昭和16年)は凝った検印紙に動じず、普通の印を捺してあった。 西島は23歳から5年間、「新しき村」に参加した。そのためか、武者小路実篤が装幀を担当して野菜や果物(柿)の絵を描いている。 目を通すと、…

一琴一硯之楽の新たなナゾ

昼寝覚め、散歩がてら図書館まで、予約しておいた堀辰雄全集8巻「書簡」(大正11年~昭和28年)を受け取りに出た。 手に取ってすぐ、昭和16年の辺りを開くと、偶然にも8月25日軽井沢から、義弟加藤俊彦にあてた速達便・封書の掲載された246-2…

「晩夏」が届いた

昭和16年の「晩夏」が届いた。 ドキドキしながら、奥付を開く。 あった、堀辰雄夫妻が半日かけて捺した「一琴一硯之楽」の印。 縦6㌢横5㌢の大きな検印紙に、縦長2㌢×1.3㌢ほどの印が捺されている。 「一つ一つ丁寧に『琴』だとか『硯』だとかいふ文…

堀辰雄が妻と捺した一琴一硯の印

甲鳥書林の著者検印について、新たに分かったことがある。 昭和16年、甲鳥書林から「晩夏」を上梓した堀辰雄が、検印についての文章を書いていたのだ。 「我思古人(旧題・一琴一硯の品)」という随筆で、青空文庫で読んだ。 「『晩夏』が校了になり、ほっ…

甲鳥書林の検印ー中山義秀のケース

昼時、神保町のA書房による。寄るといっても、あまり縁のない専門書の古本店なので、外に置いてある100円のゾッキ本を覗くためである。小林剛「日本彫刻史研究」、平田俊春「平安時代の研究」などの大冊もここで見つけ手に入れた。 他にも長谷川如是閑の…

甲鳥書林と猫印のアイデア

前に森田草平著「夏目漱石」(昭和17年)で見つけた猫をデザインした著者検印を面白いと紹介した。草平自身のアイデアだと思ったが、或は、出版元の甲鳥書林のサジェッションがあったかもしれないと思うようになった。 猫のようにデザインした草平印 この…

「犬猫人間」の装丁

長谷川如是閑にばかりとらわれていられないが、随筆集「犬猫人間」(改造社)の本の作りも変わっている。 手元に古本店から入手した大正13年の初版本があるが、表紙の題字が絵文字なのだ。函があったのかは不明だが、表紙は御覧の通りで、これだけ見たらタ…

上代日向研究所のこと

球春、プロ野球のキャンプもたけなわ。テレビのスポーツニュースをぼんやりと眺めながら、幾度か訪ねたソフトバンクやジャイアンツの宮崎キャンプを思い出す。 サク越えの当たりを連発する野手を見て騙されたものだ。ブルペンで速球を投げ、仕上がりの早い投…

きっかけは龍蔵蔵書

仕事場の近所、神保町の古本店に立ち寄って、2冊ほど書籍を購入した際、 「それは、鹿島龍蔵さんの蔵書だったんですよ」とご主人が話しかけてきた。 話によると、書庫の蔵ごと手に入れたらしい。平積みしてある「工藝」など、店内には同氏の蔵書がたくさん…

車馬図の陶印を見つけた

神田淡路町界隈には、古い店舗があって興味深い。 ランチ休憩の帰り、いつも前を通るハンコ屋を覗いた。 来年の十二支『亥』のハンコが店の外のワゴンにおいてあったからだ。 店内には、ペルシャ、シルクロードの印章など、興味深いものが飾ってあって、店主…

博多で見つけた仙厓もなかとインドネシア猫

福岡から昨日戻った。福岡空港で土産物を探していたら、仙厓の最中があったので、何も考えずにすぐ買った。仙厓のことは、前にも書いているが、菓子になるほど世に知られるようになったのか、と思った。 http://blogs.yahoo.co.jp/fumitomotomu/11557816.htm…

森田草平のネコ印鑑

この印は、猫ではないだろうか。 本の奥付にはられた著者検印で、猫を発見した。 夏目漱石の弟子、森田草平の著書「夏目漱石」(昭和17年、甲鳥書林)。 丸い目、そばだてた耳、立った尻尾。 これは猫だろう。 だが、前足が1本。 細の実家から引き取った…

トビとタカ―気になる普羅の句

ワシタカの生態を、俳句で発見することがある。 鷹と鳶闘ひ落ちぬ濃山吹 奥飛騨を旅して、俳人の前田普羅が、目撃したのは、春先、鷹と鳶が争いながら、落下する姿だった。この句をおさめる「飛騨紬(ひだつむぎ)」は、戦後まもなくの1947年に靖文社か…

黄砂の報に、有翼日輪やら諏訪のカラスをおもう

中国大陸から黄砂とともに、pm2.5がとんでくるとの報道がさかんだ。 太陽に、三本足のカラスがすんでいる、という中国うまれの伝説は、黄砂の賜物らしい、という話をおもいだした。絶版になってしまっているが、斎藤尚生さん「有翼日輪の謎」(中公新書…

内田吟風の古本蔵書印の謎がとけた

何十年も前の夏に、甲子園球場にかよっていたことがある。 しかし、ほとほと、高校球児の熱気にあてられて、つかれてしまうことがあり、 大阪の阪急古書のまち、にたちよって、つかの間、自分の時間をとりもどし、ホッとした経験がある。 その時、かった本が…

高野長英が持っていた英国カップ

埼玉・大宮の在に土呂という処があって、旧家に高野長英から贈られたと伝わる英国の陶器が残っている。 「見沼の風-大和田だより」というHPで知った。 http://keyakihiroba.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_8d96.html 長英は幕末の日本の、何処でこの…

モンゴル狂・春日さんの訃報

とことん、モンゴルを愛し続けた、春日行雄さんが2日亡くなりました。 90歳でした。 島根に生まれ、旧満州の軍医学校に学び、五族協和の精神の下、現地で活動されましたが、敗戦後、モンゴルに抑留され、収容所で医師を勤めました。帰国後、船医、保険医を…