2012-01-01から1年間の記事一覧

ダルハンのハヤブサは悪いってか

CiNiiの論文検索で楽しんでいる。 沖田道成さんの「元朝期鷹狩り史料一考」(アジア文化学科年報 1, 1998-11 )を見つけた。 元朝の法典「元典章」の「巻38、兵部5」からの引用に、想像が膨らんだ。 元朝のフビライやテムルがハヤブサ、タカを献上さ…

誕生祝の南蛮で東南アジアを想像する

細が誕生祝を買ってくれるというので、ならば、と一緒に神保町へ行って、骨董を買ってもらった。 南蛮という、無釉の小壷だが、茶道具の世界では、「南蛮・島物」として珍重されているらしい。 初めて、この器を見たとき、沖縄の国吉清尚さんの作品を連想して…

どっちが怖い、科博のニホンオオカミと伏見稲荷のキツネと

「チョコレート展」を見に、上野の科学博物館に行ったついでに、同館のニホンオオカミ(剥製)を探した。 ボランティアの男性に、「ニホンオオカミどこですか」と聞くと、「地球館の3階奥の右側です」とすかさず返事があったのは、ニホンオオカミは他の動物…

南座行きの新幹線で、また左右を思う

先週末、京都の友達に誘われて、南座の顔見世に出かけた。 行きの新幹線で、ゆっくり読書ができた。 神保町の古書店で手に入れた「佛教藝術」272号の「元大都の皇城に見る『モンゴル』的要素の発現」を熱心に読んだ。福田美穂さんという学者の論文。 以前「…

HOWLかBARKか、隼人の犬吠え

モンゴル・ロシヤ・ドイツ辞典の「おおかみ」 吠えるといっても、オオカミの「howl 」か 犬の「bark」か、の違いがある。 はて、今まで書いてきた、「隼人」のことが気になった。 隼人は、古代、宮廷を守護し、南の方位にあたる門で、大事な行事があ…

古本で、絶滅危惧種のアカオオカミの知識を仕入れる

モンゴルのレッド・データ・ブック(絶滅のおそれのある野生生物)の1987年版が手元にある。最初に登場するのが、アカオオカミだ。アカオオカミといっても、オオカミではなく、野生犬。dhole ドール と呼ばれている。 ドールにも、北方のnorther…

フランスワインのワイルドな鷲

先々週のこと、郊外のイタリア料理店に出かけた。店内の壁がワインの木箱でデザインされていて、木箱には鷲が描かれていた。 2羽の鷲は、NEVERS=ヌヴェールと書かれた帯の上に止まっていた。フランスのブルゴーニュにある都市、ヌヴェール産のワインなの…

セルオドという控えめな名のマラソンマン

昨日、紅葉を見に行ったら、サクラが咲いていた。 モンゴルのスポーツマンにもサクラが咲いたので、久しぶりにモンゴルの話題を。 25日に行われた大阪マラソンで、31歳のモンゴル選手が2時間11分54秒の大会記録(まだ2回目ですがね)で優勝した。 …

クレナヰのヒモに到達するのも難しい

古代の色の話は大変難しいことが分かった。 「古事記」では、黒、赤、青、白の4色しか記載がなく、どうやら黄色の概念がなかったらしい。 佐竹昭広「古語雑談」(平凡社ライブラリー)に書かれている。 いろいろな色があっても、その4分類に当てはめられてい…

赤い椿も青黒く染めてしまう烏草樹

仁徳記の石の比売のくだりに、染色に関わるものが集中しているように思う。 赤い紐が濡れて色が落ち、青摺りの衣が赤くなった話のほかにも、「烏草樹(さしぶ)」や「椿」と染色関連の草木が出てくる。 夫の仁徳天皇に嫉妬した石の比売の歌。 ~河の辺に 生…

古代の赤い染料を推理する

赤について考える。 古代の赤の染料について、気にかかる古事記の記述がある。仁徳天皇が怒った磐姫をなだめるために、丸邇臣口子を派遣するくだりだ。 磐姫はかたくななままだったので、口子は役目を果たせない。結局、雨の中を腰まで水溜りに浸かりながら…

北武蔵でぼんやりと空と木々を眺めたら

ドライブに出かけた。息が詰まる日々が続いて限界に来ていたので、北武蔵の空と木々をボンヤリ眺めて過ごした。 天から神が降りてきそうな、依代のような杉が寺の参道に立っていた。 エノキの古木にも出くわした。瘤があって、太い幹の下から秋の空を眺めた…

描かれていた中世の鷹犬

鷹狩りで用いる鷹犬。鎌倉時代の後期に鷹犬が描かれていた、のを遅まきながら知った。 1309年に、西園寺公衡が春日神社に奉納した「春日権現霊現記」。絵描きは、高階隆兼という人だ。 鷹、おそらくハイタカを左手に停めて、仲間に自慢する貴族の近くで…

再びスガルについて

「日本書紀」の雄略天皇の巻に、蜾蠃(すがる)という人物が登場すること、蜾蠃は、中国語で、ジガバチ=似我蜂のことだ、といったことを書いた。 ジガバチの生態をよく知って、蜾蠃のエピソードを書いているので、日本書紀のこの巻を撰述した続守言は、随分…

ミサゴが落としたイタチザメ

カリフォルニア州南部のゴルフ場に、体長2フィート(約61cm)のイタチザメが降って来た、とAPが伝えている。 2箇所に、傷が残っていたので、鳥が脚で捕まえて落としたのだろうと、推測している。ゴルフ場にいた人たちがサメを海に戻して助けたという…

猛毒の鳥、鴆を想像する

鴆(ちん)という謎めいた鳥がいる。 蛇を食べ、羽に毒があるという。室町時代の『太平記』では足利直義の死因は、この鳥の毒「鴆毒」だ、と記している。 18世紀前半の加賀騒動を扱った巷説では、幼君重照の枕元で女中の幽霊が現れ、鴆の羽根を猪口に浸して…

鷹犬は米やパンを食べさせられた

鷹狩りで、鷹のお供をする鷹犬について、あらたな知見を得た。 動物考古学者の松井章さんが、すごく面白い発表をしていた。 奈良時代のこと。平城京の長屋王の邸宅跡で見つかった木簡群に、犬に米飯が与えられた記述が見つかった。犬を米飯で肥やして、食用…

瀬戸内にいた肥人

前回書いた中で、瀬戸内海沿岸で出土した装飾須恵器に肥人の騎馬姿が描かれているという仮説は、自分でも少し無理があるかな、と思ったが、「播磨国風土記」を思い起して、おかしくないと思い直した。 熊本の人が岡山や兵庫で描かれるのは普通は考えにくいが…

倉敷考古館の鉢巻おじさんや、肥人の鉢巻のこと

鉢巻おじさんとか、鉢巻の馬乗りとか、装飾須恵器に多くの鉢巻人物像があるのを知った。 倉敷考古館の「よもやまばなし」に、何回かに分けて紹介されている。実に興味深い。 http://ww51.tiki.ne.jp/~kura-kouko/yomoyama39.html 装飾須恵器は、古墳時代後期…

たたら製鉄の番子の鉢巻

色のことは、色の専門家の話に耳を傾けるのが一番だろう。赤い鉢巻のことだ。 「 上村 六郎染色著作集5」に「たたら師の赤い鉢巻と赤褌」という一稿があった。 「『山陰民俗』第十号によると、池田和生氏の『千種たたら聞書』と云う報告の中に、兵庫県宍粟…

モンゴルの地図が出て来た

部屋を片付けていたら、モンゴルの地図が出て来た。モンゴルの地図には面白いのがある。 下は、古生物地図。発掘された恐竜の骨などを元に、モンゴルでの古生物の分布を記している。 南のゴビには恐竜がウヨウヨしていた、ことがわかる。 西部には、恐竜より…

偶然サシバを見て、豪州の鷹の絵を思い出した

仕事で静岡市の西ヶ谷という処に行ってきた。夕方4時すぎ、空に12羽程度のタカの群れを見つけた。この時期、この場所、を考えると、南に向かって移動するサシバだと思った。 そばにいた若い仲間に、あれサシバじゃないか。よく見たほうがいいよ、縁起がい…

カレー店で出会ったインドの鷲

昨夜、インドカレー店に出かけ、インドのビールを頼むと、ワシのラベルの「BLACK EAGLE」が出て来た。 ここでも、ワシタカに出くわすとは。南インド出身の主人に尋ねると「マハラジャ」と、「キング・フィッシャー」と、この「ブラック・イーグル…

埴輪の鉢巻は赤、と推論する

ハチマキを2廻り巻く像というのは珍しい。 この埴輪が出土したのは、埼玉県加須の古墳。 図像、立体像では他に見たことがない。 あえて近いものを探すと、文献で、また、スガルに結びついてくる。 スガルは、「日本霊異記」の第1の説話に出てくるのだが、…

憂歌団を聴いて、更に赤い鉢巻にこだわる

久しぶりに、憂歌団の名前を見た。朝の通勤途中、訃報でー。 仕事を済ませ、スチュワートさんの英会話も終えて、我が家で、レコードを探しまくって、LP「rolling steady」を見つけて聞く。 「当れ! 宝くじ」 Sleepy John Estes と共演した憂…

馬の右乗りは、やはり、6世紀に遡った

日本の騎馬文化の左右の感覚の変化について以前に触れたことがあって、古墳時代も戦国時代のように、当時の日本人は現在とは反対側の、馬の右側から騎乗したのではないか、と仮説を述べたことがある。 馬と馬子を描いた埴輪で、馬子の立ち位置が、馬の右側の…

沖縄にミサゴが先着してしまった

サシバより先に、ミサゴが沖縄に着いてしまった。 ミサゴ=OSPREY。強引なやり方。 「audubon birds 」の osprey ミサゴは、魚を獲るワシタカ類。魚を掴む技術は、「四本の趾のうち前に向かった三本の外側の一本が後方に回転し得る事であって、この点…

サシバの渡りの時期に沖縄を思う

鷹が移動している。 南に向かうサシバは、9月中に長野の白樺峠で1万1000尾、滋賀の猪子山で5000尾超を観測した、とhawk migration network of japan のHPが各地の速報を伝えている。 http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet00.html 台風が…

木米の帯に挟まっている不思議な生き物

いったい、これはなんなのだ、とずっと気になっている。 帯に、差しているのは、刀ではなくて、どう見ても、ヘビに見える。 描かれているのは、幕末に京都で活躍した作陶家の青木木米。 「もくべい」殿の作品に関心をもって、調べたら、こんなへんてこなもの…

石垣島・牧野清さんに教わったこと

家族3人で石垣島や、竹富島で過ごした夏は、思い出深い。 ビートたけしがバイク事故で重体になったニュースが石垣島にも飛び込んだが、 先島の美しく穏やかな礁湖に身を置いていたので、はるか遠い都会の出来事に思えた。 石垣市の土産屋のレジになぜか、一…