先々週のこと、郊外のイタリア料理店に出かけた。店内の壁がワインの木箱でデザインされていて、木箱には鷲が描かれていた。
2羽の鷲は、NEVERS=ヌヴェールと書かれた帯の上に止まっていた。フランスのブルゴーニュにある都市、ヌヴェール産のワインなのだろう。
鷲は、動きに茶目っ気があって、わが酔眼には、油断ならない日本の天狗のようにも映った。
フランスの鷲といえば、ナポレオン・ボナパルトがローマ帝国を真似てシンボルにしたものが知られる。フランス帝国の守護鳥として、ボナパルト軍の各連隊は、連隊旗の棒頭に銅製のこの鷲を据えて戦場に出た。(鷲は頸を左に向けているのが、特徴に見える。)
連隊は戦闘でこの像を失うことを恥としたため、敵側の英国、ロシア軍は逆にこの像を奪って破壊するに集中したという。
今も残る銅製の鷲には、連隊の番号が記されている。
威厳が強調された帝国の鷲に比べて、同じフランスでもワイン木箱のヌヴェールの鷲は、ひとくせありそうな風姿なのが興味深い。