ハヤブサと鷹狩
前に、松原さんという鷹匠が、魚を捕る鷹、ミサゴと出くわして、驚いたミサゴが咥えていたクロダイを磯に落としてしまい、松原さんが刺身にしておいしく食べた話を紹介した。 みさごずし、という言葉があるのを最近知った。ミサゴが捕って岩陰などに置いた魚…
先に触れた天明期の京都の俳人で洒落本作者「富土卵(とみ・とらん)」を調べていて、土卵が下毛野氏の末裔であることが分かった。 下毛野氏といえば、前に度々触れたように、古代から中世へ「鷹狩」の技術を伝承した一族で、平安時代には、摂関大臣家の大饗…
神保町の古本屋ばかり顔を出すようになって、随分とご無沙汰している三田線沿線のとある古本店に入った。仕事で近くに寄ったのだ。 高齢の夫妻は店番をしておらず、息子さんが居た。両親は変わらずに元気かと尋ねると、元気だとのこと。 長い間飾っていた河…
猫に邪魔されないものを、WOWOWオンデマンドで見るしかない。 米CBSの人気シリーズ「FBI 特別捜査班」。主演女優がカナダ出身のMissy Peregrym。ハヤブサperegrineに、似た発音、スペルの名前なので、ワシタカ類に関心をもつ者として、前から気に…
昨年細と泊まった秩父の温泉宿は、元力士が経営していて、浴衣も実際の現役力士のオリジナル浴衣を選ぶことができた。 私は、ちょっと色が派手だったが、鷲の模様にひかれて、すぐに決めた。 モンゴル・ウランバートル出身の玉鷲関のものだった。 ワシは、紐…
鷹狩りには歴史的、地域的に「左手に鷹を止める作法」と「右手に止める作法」と二流あって、個人の好みで変えられるというものではない、と記してきた。 左手が、日本、ヨーロッパ、アラブ、韓国 右手が、中国、ロシア、モンゴル、イラン(ペルシャ) その中…
数日前に先輩からメールがあって、Eテレで、ハヤブサを扱った海外ドキュメンタリーが放送されると教えてくれた。その時に録画しておいたのを、昨夜再生すると、先にネコが反応した。画面の前に駆け寄り、かぶりつきの状態になった。うちのネコは動物番組が…
英語の先生Sさんが突然姿を消してしまった。 ケータイを持たない先生だったのと、メールのあて先を頻繁に変えるために、連絡も途絶えてしまった。 余程の事情があったのだろうと、心配していたところ、留守中に我が家を訪ねてきて、手紙を置いて帰ってしま…
なおも、奈良時代のハヤブサについて。 大宝2年(702年)に、薩摩隼人のくにが「唱更国」と命名されたのは、理由がある。薩摩隼人が文武朝に逆らったので、征討されたためだ。「続日本紀」に、反乱や制定の動きが出ている。 大宝2年8月1日 薩摩と多褹…
久しぶりにハヤブサについて。 ハヤブサは、トルコ、モンゴル、朝鮮と、鷹狩文化が盛んだった地域で、一定の呼ばれ方をしていた。 ションホル。地域によっては、ションコル、ションコンなど、変化はある。 例えば17世紀の、朝鮮語の辞書「新増類合」を見る…
不法ドローンを捕獲するため、オランダの警備会社がハクトウワシを仕込んで実用化を進めているというニュースが話題になっている。ロンドン警視庁は、ドローンの刑務所への侵入の企てが相次いでいることから、ワシによる警備に関心を示している、と英国メデ…
鷹狩の季節に入ったが、ワシタカ類の宝庫のモンゴルで、アラブ圏への「ハヤブサ密輸」のニュースが報じられている。モンゴル・ニュース電子版で、Γ(ゲー)・ラブジャー記者が、捜査当局がハヤブサ捕獲グループの摘発を始めた、とかいている。 捜索を受けた…
スチュワート先生は英に一時帰国した際、初めてグレートブリテン島の西南端をまわったという。デヴォン、コーンウォール両カウンティ。奥まった入り江に18、19世紀に密輸で栄えた隠れ港がある。ブランディー、羊毛などべらぼうに高い関税をかいくぐり、…
思いたって、日曜日に細と上野動物園に出かけた。鳥舎はすいていた。アカショービンなどと一緒に、コマドリが居た。 走馬のくつわを鳴らす音に、鳴き声(ヒンカラカラ)が似ているから「駒鳥」と名付けられたという、この鳥は気になる鳥。マザーグースの不思…
2014年ロンドンで発行されたHelen Macdonaldの「H is for Hawk」が届いた。 父の死の衝撃で精神のバランスを失った著者ヘレンが、英国の自然のなかで、オオタカの鷹狩を学習し、オオタカとの交流を通して立ち直ってゆくノンフィクション。 まだ3章を読…
スチュワートさんは、この夏ハヤブサに魅せられたようだ。 夏休暇をすごした英国のグロスターシャーで、ICBP(国際猛禽類センター)を見学したという。英国でもっとも歴史ある猛禽類センター(1967年創設)で、入るとすぐ、訓練された猛禽類が、野外で一…
ワシントンポストのWEB版に、昨秋ワシントンDCから発信機をつけて飛び立った雄のミサゴ(名はロドニー)が、4月11日に冬営地のベネズエラから戻った、という記事が掲載されていた。 3月24日にベネズエラを出発、2週間で4700キロの旅をしたこと…
鷹狩のことを考えているせいか、夏場、鷹のTシャツを着て過ごした。 季節が変わり、トニー・ベネットの来日公演を聴いて感動し、その足で神保町の古本街を覗いた。ある本を見つけ、鷹狩で、大きなことを見逃していたことに気づいた。 「トルコの陶芸 チニリ…
13世紀にモズを用いて鷹狩をした名人鷹匠が信濃にいたが、オオタカ、ハイタカ、コノリなどの通常の鷹ではなく、魚を捕るミサゴを用いた鷹狩の伝承もあったらしい。 「ミサゴ腹の鷹」といわれ、ミサゴと他の鷹のハイブリッドということだった。二本松泰子氏…
ワシ、フェニックス。シュメル文明からはじまって、世界の神話で太陽を背おってはこぶ鳥は、実在、空想をとわず、巨大で風格のある存在だ。 だから、次の俳句をしって、ちょっと新鮮だった。 かなしめば鵙金色の日を負い来 加藤楸邨 http://ja.wikipedia.org…
黄金週間の一日、 3家族があつまって、知人宅の庭で恒例のバーベキューをした。 2家族の主人は、はたらきざかりの最中、相ついで、なくなってしまったので、 ご主人たちの、在りし日をしのぶBBQにもなっている。 今年は、猫の話でもりあがった。 みな、…
今は昔、新潮文庫から俳人の自選句集が沢山でていた。 草田男、波郷、誓子、草城、蛇笏、楸邨。 文庫には灰色の帯がついていて、水原秋桜子自選句集は、ことに大事によんだ。 登山や旅をこのんだ秋桜子には、鷹の句も多い。 雲海や鷹のまひゐる嶺ひとつ (赤…
玄関に、兜をかざる。立派にみえるが、小さな紙の兜。 2011年5月、不忍ブックストリート(一箱古本市)へでかけ、ついでに都の指定名勝、旧安田楠雄邸によった時のこと。息子が義捐金募集におうじると、紙屏風と一緒に手わたしてくれたのだった。心のこ…
2010年の冬、おもいたって、家族で福島の浜通りを旅した。いわき市の海岸の宿舎に何日かとまって、白水の阿弥陀堂、高蔵寺、福島第二原発近くをまわった。 まさか1年後に、震災、原発事故がおこるとは、これっぽっちもおもわないで。楢葉町では、うどん…
wowowで、ボクシング世界戦に挑戦した石田をみたが、カザフスタンのチャンプに一蹴されてしまった。リング上では、防衛したゴロフキンの後ろで、カザフスタンの真っ青な国旗がひろげられていた。 この国の国旗も、ワシタカがえがかれているではないか。太陽…
久しぶりに細と、新宿・高島屋に買物にでかけた。上階のテラスにでると、小さな祠があった。 お稲荷さんかとおもったら、金文字で、「熊鷹社」とあった。 京都の伏見稲荷の奥に、やはり「熊鷹社」があって、そこの末社なのだろう。昨年末、伏見稲荷にいったが…
久しぶりに土曜の夜、ウイグル料理をたべにいった。 店にウイグルの代表的な楽器、ラワープがかけてあった。ウイグルは音楽も、実に豊かなのだ。 民族音楽のフィールドワーカーだった小泉文夫さんが、三味線のルーツでもあり、琵琶のルーツでもあるウイグル…
出かけ、玄関に雛がかざってあった。どうみても、女雛が2体にみえる。これにはわけがある。 数年前の三月、東大寺の二月堂へお水取りに細とでかけたときのこと、奈良の三条通り、猿沢池の手前の南部銀行の前あたりで、おばさんが、端ぎれをつかってこしらえ…
モンゴルのガルーダは、首都ウランバートルの市章だった。しらなかった。 ガルーダは、モンゴルで信仰されるラマ教の曼荼羅タンカや、仏画にでてくる。 執金剛の頭の上や、 釈迦像の頭部にえがかれたりしている。 ウランバートルの象徴となるような、目だっ…
昔旅行したモンゴルの首都ウランバートルから持ち帰った市内地図が出て来た。 外国人観光客用に無料で配布したものなのだろう、部屋を整理していて見つけた。折畳式の地図の表紙上部に、気になるマークがあった。 牛のような角があって、蛇を両足でにぎりし…