ハヤブサと鷹狩

ラーメン店で鷹の椅子にすわる

知人が事務所を渋谷から神楽坂界隈に移転したというので、一緒に呑んだ後、新オフィスを覗いた。 広々とした空間。仕切りがなく、床には荷が置かれたまま。壁には絵がペンキで描かれている途中だった。仲間のイラストレーターがやって来て、勝手に描いてくれ…

トビとタカ―気になる普羅の句

ワシタカの生態を、俳句で発見することがある。 鷹と鳶闘ひ落ちぬ濃山吹 奥飛騨を旅して、俳人の前田普羅が、目撃したのは、春先、鷹と鳶が争いながら、落下する姿だった。この句をおさめる「飛騨紬(ひだつむぎ)」は、戦後まもなくの1947年に靖文社か…

鷲の装飾彫刻に圧倒された

連休の一日、神社仏閣に興味のない細が、去年国宝に指定された妻沼聖天をみにいこうといいだした。どういう風のふきまわしと、とおもいつつ、気ばらしにドライブにでたら、好みであるかはともかく、絢爛な彫刻に正直圧倒された。 江戸時代中期の、日光東照宮…

ヘビを食べる「ツバメトビ」なのか

メキシコのヘビをくうワシについて、気になることがある。 ヘビをくう美しいタカがメキシコにも生息していることだ。SWALLOW-TAILED HAWK (KITE) http://en.wikipedia.org/wiki/Elanoides_forficatus?printable=yes 燕の尾の形をし…

鷲のいるメキシコ国旗におもうこと

昨年、ボクシングの世界戦にでかけ、試合前の国歌演奏で 起立してメキシコ国旗をまじまじみたら、ヘビをくわえたワシがえがかれているのに気づいた。 湖の岩にはえたサボテンにワシがとまって、右脚でヘビの胴をつかみ、クチバシで頭の下をかんでいる。 メキ…

ヨハネの鷲は教会にゴマンといるらしい

子どものころ、教会の日曜学校に、姉に連れられ通っていたことがあるが、とんと基督教のことを知らない。 昨年末、新しくなった上野の都美術館で「メトロポリタン美術展」を覗いたところ、聖書台を大きな鷲が背負っている、とても迫力のある大理石製の展示物…

ダルハンのハヤブサは悪いってか

CiNiiの論文検索で楽しんでいる。 沖田道成さんの「元朝期鷹狩り史料一考」(アジア文化学科年報 1, 1998-11 )を見つけた。 元朝の法典「元典章」の「巻38、兵部5」からの引用に、想像が膨らんだ。 元朝のフビライやテムルがハヤブサ、タカを献上さ…

フランスワインのワイルドな鷲

先々週のこと、郊外のイタリア料理店に出かけた。店内の壁がワインの木箱でデザインされていて、木箱には鷲が描かれていた。 2羽の鷲は、NEVERS=ヌヴェールと書かれた帯の上に止まっていた。フランスのブルゴーニュにある都市、ヌヴェール産のワインなの…

描かれていた中世の鷹犬

鷹狩りで用いる鷹犬。鎌倉時代の後期に鷹犬が描かれていた、のを遅まきながら知った。 1309年に、西園寺公衡が春日神社に奉納した「春日権現霊現記」。絵描きは、高階隆兼という人だ。 鷹、おそらくハイタカを左手に停めて、仲間に自慢する貴族の近くで…

ミサゴが落としたイタチザメ

カリフォルニア州南部のゴルフ場に、体長2フィート(約61cm)のイタチザメが降って来た、とAPが伝えている。 2箇所に、傷が残っていたので、鳥が脚で捕まえて落としたのだろうと、推測している。ゴルフ場にいた人たちがサメを海に戻して助けたという…

鷹犬は米やパンを食べさせられた

鷹狩りで、鷹のお供をする鷹犬について、あらたな知見を得た。 動物考古学者の松井章さんが、すごく面白い発表をしていた。 奈良時代のこと。平城京の長屋王の邸宅跡で見つかった木簡群に、犬に米飯が与えられた記述が見つかった。犬を米飯で肥やして、食用…

偶然サシバを見て、豪州の鷹の絵を思い出した

仕事で静岡市の西ヶ谷という処に行ってきた。夕方4時すぎ、空に12羽程度のタカの群れを見つけた。この時期、この場所、を考えると、南に向かって移動するサシバだと思った。 そばにいた若い仲間に、あれサシバじゃないか。よく見たほうがいいよ、縁起がい…

カレー店で出会ったインドの鷲

昨夜、インドカレー店に出かけ、インドのビールを頼むと、ワシのラベルの「BLACK EAGLE」が出て来た。 ここでも、ワシタカに出くわすとは。南インド出身の主人に尋ねると「マハラジャ」と、「キング・フィッシャー」と、この「ブラック・イーグル…

沖縄にミサゴが先着してしまった

サシバより先に、ミサゴが沖縄に着いてしまった。 ミサゴ=OSPREY。強引なやり方。 「audubon birds 」の osprey ミサゴは、魚を獲るワシタカ類。魚を掴む技術は、「四本の趾のうち前に向かった三本の外側の一本が後方に回転し得る事であって、この点…

サシバの渡りの時期に沖縄を思う

鷹が移動している。 南に向かうサシバは、9月中に長野の白樺峠で1万1000尾、滋賀の猪子山で5000尾超を観測した、とhawk migration network of japan のHPが各地の速報を伝えている。 http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet00.html 台風が…

ゼウスは鷲を右手に止めた

紀元前4世紀、アレクサンダー大王時代のコインというものがあって、 椅子に座った男が、ワシタカ類を右手に止めているデザインだった。 アレクサンダー像かと思ったら違った。 調べてみたら、ギリシアの全能の神、ゼウスと黒鷲だった。 腰布をつけ、即位し…

日本の鷹犬を探索中

諏訪流鷹匠の大塚紀子さんの「鷹匠の技とこころ 鷹狩文化と諏訪流放鷹術」(白水社)によると、日本の鷹犬は、セッターやポインターのように 猟の作法をなかなか習得できず、 特に鷹犬に一番要求されること、鷹や鷹の獲物に飛びかからずにじっとしているのが難…

ハイタカやコノリを用いた放鷹楽

暑いなか、忙しない生活を送っているけれど、合間を縫って、「鷹狩り」の探索を続けている。 「放鷹楽」について。 奏楽に、鷹狩りを表現したものがあった。村戸弥生さんの「遊戯から芸道へ:中世における芸能の変容」を読んで、「放鷹楽」の存在を知った。 …

隼人の鷹犬は百済の渡来犬か

鷹狩における鷹犬の存在。古代日本でも、鷹と犬がセットだったことを伺わせるものが残っている。 奈良時代「天平十年(738)筑後国正税帳」にこう記されている。 「貢上鷹養人参拾人・・・貢上犬壱拾五頭」。 大宰府に、税として鷹匠30人、犬15頭が献上…

鷹犬の元祖はトルコから?

前回紹介した、李重潤墓の壁画の、「臂鷹緤犬図」は、実は重要な絵のようだ。 人物を見ると、左手に鷹を止めているように見える。アラブ、日本、朝鮮流の止め方だ。中国のものでは、ほかに例がない。 李重潤墓の壁画には、鷹匠のものが他にも2点ある。2点と…

中国の古代鷹犬もサルーキに似ていたようだ

前に、サルーキというアラブの鷹犬について書いたが、サルーキ saluki が シロハヤブサ gyrfalcon に、獲物を分けてもらう興味深い動画があった。 http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=eoT9WsN39F4&NR=1 http://www.youtube.com/watch?v=tjatW…

羽白熊鷲をオオワシに「比定」してみた

記紀には、猛禽の名をもった人物がほかにも登場する。日本書紀の巻9。神功皇后が筑紫を「平定」する話の中に、羽白熊鷲が出てくる。 「荷持田村(のとりたのふれ)に羽白熊鷲という者があり、その人となりは強健で、翼がありより高く飛ぶことができる。皇命…

古事記のオオタカは、シロハヤブサだったという仮説

前の事だが、南京博物院名宝展が東京でも開かれ、明代の画家殷偕の「鷹撃天鵞図」が展示された。 天鵞は白鳥。鷹が白鳥を撃つ瞬間を捉えた迫力ある画だ。カタログの解説には、 「天鵞(白鳥)を襲う鹞鷹(はいたか)の図」と記されていた。南京博物院の判断…

ツルとシロハヤブサにこだわるわけ

鷹狩りについて調べてゆくと、どうしても、フレデリック2世の書いた大著「De arte venandi cum avibus」(鷹狩りの技術)を無視できないことが判った。 2分冊の英語訳が出ているので、上巻から取り寄せて読み出した。 13世紀の神…

シロハヤブサに、やっとたどり着いた

昼休みに国際展示場のブックフェアを覗いて、バーゲンコーナーで重い「Audubon birds」(JG press)を買って帰った。 J・J Audubonの、全米の鳥のイラスト選集で、見事な鷹の画が載っている。特に美しいのが、シロハヤブサ gy…

アラブの鷹犬サルーキと、隼人の鷹犬のことなど

「狸ビール」という伊藤礼さんの本は、僕が最も好きな本の10冊に入る。猟というものをユーモラスに描いていて、僕が知りたかった人と猟犬の関係や、人と犬の心のやり取りが伺えるからだ。 日本がまだ豊かな自然の残っていた頃の、野山を舞台にした人と犬の共…

美しい野田のオオタカ

野田市在住の野鳥写真家の方から頂いた貴重な、オオタカの写真を、窓辺に飾ってみる。 獲物を見つけて、着地しようとする一瞬なのだろう、美しい鷹に惚れ惚れする。 野田には、オオタカが沢山棲んでいるというから、住民が羨ましい。 野田には「愛宕」という…

英国のチョウゲンボウ

英会話の先生スチュワートさんとモンゴルからドバイ辺りへ、セーカー隼が不正輸出されている話になり、その流れで、ロンドンのタカの話になった。 10数年前の話、ロンドンのパブ周辺に鳩が増えて、店々が困ったことがあったという。みなで鷹飼を雇って、鷹を…

船は隼、鷲であり、コノリでもあった説

舟は、ワシタカに例えられていたのだなあ、沖縄の事物、歴史に触れるにつけて、思うことが多い。 陰暦5月4日に行われてきたハーレー「爬竜船」の競漕。 船は「隼」と言われた。前に紹介した松田毅一少年の「台湾・沖縄の旅」には、昭和10年代の那覇のハー…

人工ミサゴは、危険です

冬、渡良瀬遊水地に出かけたことがある。 年季の入ったバードウォッチャーが多数集まっていた。チェアーを出して、沸かした珈琲を飲みながら、じっと待っている人もいた。 彼らは、ミサゴを待っていた。 先生といわれるベテランがいて、覗いてごらん、と据え…