ハクトウワシを仕込んでドローン捕獲させる企て

 不法ドローンを捕獲するため、オランダの警備会社がハクトウワシを仕込んで実用化を進めているというニュースが話題になっている。ロンドン警視庁は、ドローンの刑務所への侵入の企てが相次いでいることから、ワシによる警備に関心を示している、と英国メディアは伝えている。

 低空飛行する小さなドローンをワシ(頭が白くなる前の若いハクトウワシか)が追いかけて捕まえる警備会社の動画が流されている。およそ、伝統の鷹狩とはかけ離れた、目先の飛行物体を捕獲するだけの、サーカスのような、にわか仕込みの訓練のように見えた。

 動物愛護の国の警察が導入を考えているとしたら、おかしな話だと思っていたら、ナショナル・ジオグラフィック」が、批判の記事を書いていてホッとした。
 ハクトウワシは、鷹狩りに用いられるワシタカではないことハヤブサオオタカハイタカのように鳥や、哺乳類を追いかけて捕獲する鷹ではないのだ。彼らは、魚や腐肉を食べます。ハクトウワシは鷹狩の鳥ではないのです」とバージニア猛禽類研究所のケント・ノウルズ会長の談話を紹介している。ハクトウワシにとって、この種の狩りは、全く不自然なことなのだ。小鳥、哺乳類、爬虫類も捕食するが、水辺に生息し、主たる獲物は魚なのだ。
 
 ハクトウワシの扱いについて、同誌は、J-walker(交通を無視して道路を横断する人)を追うため、アフリカからチーターを連れて来るようなもの。キリンは首が長いからといって、国境で密輸人を監視させるようなもの。という例をあげている。

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 ハクトウワシは、米国の国鳥。大統領選に立候補したトランプ氏の写真撮影で、カメラマンがハクトウワシを部屋に持ち込んで、国鳥とトランプ氏と一緒に撮影しようとした時のエピソードを思い出す。ハクトウワシが急に暴れて、トランプ氏が大慌て、という撮影失敗の様子が動画で流されていた。
 誇り高い猛禽類を、人間の勝手で利用すると、手痛い目にあう、とその時も思ったものだ。

イメージ 1米国章のハクトウワシ