ハヤブサ密輸団の女ボスはマリというのだそうだ

 鷹狩の季節に入ったが、ワシタカ類の宝庫のモンゴルで、アラブ圏への「ハヤブサ密輸」のニュースが報じられている。モンゴル・ニュース電子版で、Γ(ゲー)・ラブジャー記者が、捜査当局がハヤブサ捕獲グループの摘発を始めた、とかいている。
 
 捜索を受けたとされるのは、モンゴル国籍を取得している、イラン人のA・Kという男のグループと、「マリ」の異名を持つカザフ女性が率いるハヤブサ闇取引の仲介グループ。遅れているモンゴルの法の整備をかいくぐって、鷹狩を楽しむアラブの富裕層を対象に、不法な商売をしているという。
 
 世界で最もハヤブサによる鷹狩が盛んなアラブでは、10月から12月にかけて、季節の渡りでアラビア半島を通過する鷹が捕獲され、王家、貴族たちの間で売買されてきた。鷹は遠いロシアあたりから飛来するので、鷹匠から逃げたロシア製、モスクワ製の鈴をつけた鷹も時々捉えられるのだという。
 
 ひと儲けをたくらみ、今では、アラブの市場に、中央アジア、モンゴルで捕獲されたハヤブサたちもお目見えしているわけだ。
 
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  秩父の道の駅あらかわで展示されているクマタカのはく製
 
 この季節、鷹狩が盛んだった日本でも鷹が捕獲されてきた長い歴史がある。明治初期までは、9月下旬から10月末にかけ、北海道松前、秋田仙北郡で、鳥を追って南下したオオタカを、伝統の仕掛けで捕えた。
 11月中旬をすぎると茨城県鹿島郡で、南下してきたハヤブサを、ムナグロシギなどの鳥をおとりにして浜辺で捕獲したという(いずれも、宮内庁式部職編「放鷹」による)。秋の終わりから冬にかけ、日本でも渡ってきた鷹を捕獲する伝統があったのだ。
 
 ロシアからアラビア半島へと渡る鷹にとって、経路となる中東の戦火は、無関係なのだろうか。最近、何を話しても、最後は、そこへ不安が行きついてしまう。