CiNiiの論文検索で楽しんでいる。
元朝の法典「元典章」の「巻38、兵部5」からの引用に、想像が膨らんだ。
その中身はー。
月的迷失という人物が、至元31年(1294年)6月23日に成宗テムルに、
「先帝(フビライ)は、捕獲した鴉鶻(ハヤブサ)、黄鷹(1年目のオオタカ)、角鷹(クマタカ)、双鹞(ハイタカ=雌・コノリ=雄)の良いのは人を派遣してつれて来い。悪いものは、全て逃がしてしまえ、といわれました」と奏上したところ、「先帝の言葉に従え」といわれた。
また、新帝は同年7月18日「答剌罕がよこしてくる鴉鶻(ハヤブサ)は悪いものである。月的迷失に『お前なら間違いない。鴉鶻(ハヤブサ)をよこしてこい。ちゃんとした人間を派遣して鴉鶻(ハヤブサ)をつれてくるのだぞ』と伝えろ」と昔宝赤の木發剌に命じた。
--- 以上
「昔宝赤」は、シバウチと沖田さんは表記している。ショボーチだろう。モンゴル語で、ショボーは鳥のこと。チやチンをつけると人になる。ドーは歌で、ドーチは歌手。
ショボーチは、鳥を扱う人、あるいは鳥を扱う官職。「鳥官」といったところ。
答剌罕はダルハン、モンゴル名によくある。月的迷失は、ユェディミシュとでも発音するのか。モンゴル語で解釈しづらい。
トルコ姓によくある、YILMAZが近いのではないか。
鷹を捕獲した後、役人たちが、皇帝に届けずに私するのが横行していたのが背景にあるらしい。「鳥官」のムファラは、よく分からない。バーレーンに「ムハラ」という地名がある。
鷹狩りを至上の愉しみとした皇帝たちが、鷹収集のために、モンゴル系、トルコ系、あるいはアラブ系の鷹匠を総動員していたのだろう。