イスタンブールの鷹を見逃していた

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 鷹狩のことを考えているせいか、夏場、鷹のTシャツを着て過ごした。
 
 季節が変わり、トニー・ベネットの来日公演を聴いて感動し、その足で神保町の古本街を覗いた。ある本を見つけ、鷹狩で、大きなことを見逃していたことに気づいた。
 「トルコの陶芸 チニリキョスク」(イスタンブル考古学博物館)。
 
  タイルにトルコの鷹狩の絵が描かれている。中央アジアのトルコ系の鷹狩は、モンゴル同様、右腕に鷹を止めているので、全トルコも同じように考えていた。 
 しかし12世紀末のセルジュク・トルコの遺跡から出土したタイル画には、日本やアラビアのように、左手に鷹を止める騎馬の鷹匠が描かれていたのだ=下図。白ハヤブサのようだ。
 
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 この時代のセルジュク・トルコ周辺の、騎馬鷹匠の絵を見てみると、シリアは右手に鷹を止めている。=下図。
 
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(13世紀中期 シリア エナメル金彩装飾ランプ)
 
イランでも同じように右手に鷹を止めている。=下図。
 
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(12-13世紀イラン 色絵騎馬人物文把手付壷)
 
 現在もペルシャの鷹狩は、モンゴル同様右腕に鷹を止めているので、12、13世紀以来の伝統であったようだ。
 
 トルコの鷹狩を描いたタイルは、中央アナトリア半島南部の都市コンヤ(コニヤ)のクルチアスラン2世の館出土のものという。アナトリア半島では、左腕に鷹を止めるアラビア式を採用していたようだ。
 
  さらに調べると、15世紀にイスタンブールを中心に栄えたオスマン帝国でも同様に左腕に鷹を止めるアラビア式の絵画資料が残されていた。ただし、右腕式も混在しており、トルコの特殊性を考える必要があると思った。