炬燵のない家の猫はベッドにもぐりこむ

 多摩動物公園から戻った時、17歳の猫が興奮して家の中を走りまわった。コアラを抱いてきたわけではないが、動物園から獣の匂いを持ち帰ったからか。
 
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        ユキヒョウ。長く豊かな尾に驚いた
 
 11月下旬になって、日向ぼこが出来ない曇りや雨の日、猫はベッドの中にもぐりこむようになった。気をつけないと、上から押しつぶしてしまう。
 
 炬燵があればいいのだが、わが家には、炬燵がない。 
 考古学者大場磐雄氏の「十二支のはなし」(ニュー・サイエンス社、80年)を読むと、炬燵は、江戸時代、亥の子(いのこ)の日に、出したという。
 
 亥の子餅を食べる年中行事の日。旧暦10月の初の亥の日で、今年は11月19日があたる。
 
 炬燵使用は、今もその辺りだろう。猫にとっては、炬燵はありがたい。
 
 亥の日より猫の居所高く出来 (柳多留)
 
という川柳があるという。
 
 亥の日に炬燵が出されて、猫の居場所が炬燵の上に定まった、というわけだ。
 
 今では、炬燵の上には蜜柑、湯呑などがおかれるので、猫は下ろされ勝ちだが、江戸時代はOKだった。浮世絵で、炬燵の上で丸くなった猫と、美人の取り合わせが描かれている。(春信、豊国、国政)
 
 炬燵に似たものは、イランにあるという。イランは砂漠の国とおもいがちだが、北部は冠雪した山岳地帯。確かに炬燵は必要だ。イランの炬燵=コルシで、あちらの猫たちもまた温まっているのだろうか。
 
 我が家の猫が炬燵代わりにするのは、ストーブ。ストーブにあたって床で寝ころぶのは、毎年12月に入ってからだ。