鷹とともに狩りをする鷹犬も特別だった。「こい丸」には、カワウソと犬の間にうまれた動物をつけたという。この鷹犬は水の中にはいるのが得意で、大津の浦からとりよせる、と記されている。
実際は、こんなハイブリット鷹や、ハイブリット犬は存在しないのだろうが、魚をとるミサゴで試みたり、泳ぎのうまい猟犬がいた可能性をうかがわせる。
特に、この猟犬が大津の浦でそだっている、というのが興味深い。泳ぎの得意な犬種の順位は、wanwans というサイトで見られ、以下のようになっている。
1位 ニューファンドランド
カナダのニューファンドランド島で漁師の手伝いをしていた
2位 ポーチュギーズ・ウォータードッグ
魚を網へ追いこんだり、海になくした漁具を回収した
3位 チュサピーク・ベイ・レトリーバー
4位 ラブラトール・レトリーバー
寒い海で網、魚を運んだ
5位 ゴールデン・レトリーバー
鳥の猟で水上の獲物を回収した
水泳がうまいのは、海外では、漁師の手伝いをした犬か、水上での鳥猟で活躍した犬であることがわかる。カワウソ犬も、大津の浦で、漁業の手伝いをしたか、鴨猟の手伝いをしたのかもしれない。
琵琶湖で行われる鴨猟は、銃でなく、長い藤蔓をあんで、とりもちをぬり、鴨をひっかける独特の「もちなわ漁」だったという。
泳ぐ犬は、あるいは、鴨を仕掛けにおいこんだり、回収の手伝いをしていたのか、と想像したくなる。
史料や、ほかに伝承はのこっていないが、大津そだちの鷹犬が根も葉もない話とも思えない。