野鳥

フクロウのアイスクリーム店

「梟をねこと(ど)りといへるは、かれか(が)頭の、猫に似たるよりいふ、と人みなおもへり」 江戸時代の国学者中島廣足の文章を前に記した。廣足はフクロウをネコドリと西国で呼ばれていることをあげつつも、名の由来はフクロウの頭が猫に似ているからでは…

梅雨前の早朝散歩

土日の早朝散歩を始めた。5~6時ごろに出発し、1時間ほど歩いて戻る。 小川沿いに歩き、大通りにぶつかる前にUターンする。 リードを付けて猫と散歩する壮年の男性とも出会った。猫と散歩できるのは羨ましいですなあ、と立ち話をすると、冬の寒い日も5…

埋もれているムクドリの才能

ムクドリの大群が、郊外の町でうるさい声をあげ、住民が迷惑していると報道があった。一度、郊外の駅前でムクドリに出くわしたことがあり、道に落ちているその糞の量にびっくりしたことがある。 その後、本を読んで、なんだかムクドリの扱われ方もかわいそう…

ゴシキヒワを狙うバロッチの猫

心配事が多く、気分を変えるために休日、明るい音楽を聴いて過ごすことにした。 まずしばらく聴いていないヴィヴァルディの「フルート協奏曲作品10の3」。副題が「ゴシキヒワ」で、日本には生息しない欧州の色鮮やかな五色の鳥の賑やかな鳴き声を模した明…

子猫と椋鳥

届いた「完訳クルイロフ寓話集」には、猫が登場する話が9つあった。 イソップなどギリシア時代からの物語なのか、オリジナルなのかは分からない。 猫は、食糧を盗み食いする存在として描かれるのが大半だが、川カマスに忠告し命を助ける猫、狼に村人のこと…

発光するアオサギ

NHK「ダーウィンが来た!」(11月15日放送)で、発光する鳥を目撃した視聴者の質問に答える箇所があって、研究者に聞いたが、結局よく分からないということだった。 ただ、それが鷺であることは、映像を見て分かった。 随分前に書いた、利根川で発光する…

早朝散歩と「犬の樹」

運動不足になっているので、天気が良ければ午前6時前後、川沿いの道を隣駅近くまで歩いて、戻ってくる散歩をしている。親子、夫婦連れでジョギングする人も、結構多い。 川岸の桜並木は花が散ってしまったが、ハナミズキの並木は咲き誇っていて、目を楽しま…

昭和17年のキセキレイ

今年になって知り合った神保町の古本屋さんが、新たに仕入れた古雑誌を段ボールに取り置きしておいてくれた。ありがたい。 中に昭和17年「文藝」の4月号があった。前年12月真珠湾攻撃があった時節柄、巻頭は真珠湾攻撃の特殊潜航艇9勇士の特集。横光利…

誰がミソサザイを殺したか

ヨーロッパコマドリの赤い胸毛が、キリスト伝説とつながったことは、もっと古くからのコマドリの赤毛の象徴性が、キリスト教によって変容した可能性がある、のではないか。 ヨーロッパコマドリは、今でも欧州で、ミソサザイと深い関係があり、対で語られるこ…

ヨーロッパコマドリの胸の赤は

血の滴が、かの人の顔の高貴な造作に沿って、したたり流れた。 Droplets were TRICKLING DOWN along the noble features of HIS face. トリクリング ダウン。 トリクル ダウンは、こんな風に使われ…

ミソサザイを語り部に選んだキプリング

語り部としてのヤツガシラ。 あらためて、世界の鳥のWEB検索、AVIBASEで、ヤツガシラの鳴声を確認すると、ホ、ホ、ホ(間)ホ、ホ、ホと3連音繰り返す単調なものだった。 それでもまあ、とつとつと語るようにおもえないこともない。 英作家ラドヤ…

ヤツガシラ 続き

ヤツガシラは、米作家で博物学者のピーター・マシーセン(1927-2014)の代表作「雪豹」の中に出てくる。 著者は、ネパール北西の聖山を目指し、ヒマラヤアオヒツジの生態を探る動物学者に同行し、雪豹探しに出る。ヒマラヤ山中、2ヶ月の難行。ダウ…

レコードで出会ったビューイックの木版画

レコードの棚から久しく聴いていないものを引っ張り出したら、 英国の版画家で、博物学者でもあるトーマス・ビューイック(1753-1828)の版画がジャケットに使われた「イングリッシュ・オーボエ名演奏」(トリオ)が出てきた。 ビューイックはギルバート・ホ…

カイツブリと鵜の女帝

神功皇后の名が、オキナガタラシヒメと、カイツブリに関係したように、別の古代の女帝に別の潜水する鳥の名がついているのが、面白いと思っている。 持統天皇(645-703)だ。鸕野讚良(うのささら)という。鸕の表記だが、鵜のことだ。 中国語では、…

大宮公園の息長鳥、シナガドリ

休日、盆栽村の大盆栽まつりの帰り、大宮公園へ寄って池畔のベンチで一休みした。一羽の鵜が飛来して目の前で潜水した。鵜は潜ったままなかなか水面に出てこない、目を凝らしていると、はるか向こうで浮き上がった。 小さなカイツブリも1羽居て、目の前で頻…

ポートワインのラベルに鳥が

この鳥はなんなのだろう。スチュワートさんにすすめられて、ポートワインを飲むようになった。英国で育ったスチュワートさんは、父親がポートワインを愛し、ワインセラーに沢山の種類を貯蔵していたという。家族でこの甘いワインを、食後に嗜んだそうだ。 ス…

シュメルのアンズー鳥

古代エジプトでは、ワシタカ類のエジプトハゲワシ、ハヤブサが崇拝され、聖鳥、霊鳥とされた。 メソポタミアでも、ワシの霊鳥がいた。 アンズー鳥だ。ライオンの頭を持つ鷲で、シュメル神話に登場して活躍し、都市国家ラガシュの遺跡などから図像が沢山発見…

内田JAZZコレクションからヘビクイワシへ

出張の合い間に、岡崎市の中央図書館にある「内田修JAZZコレクション室」を覗いた。内田さんが昨年末亡くなられ、一度足を運びたかったのだ。 富樫雅彦さんのドラムセットが展示してあった。昔、EWというJAZZレーベルのMさんに連れられて富樫さん…

鳥に食べられた大文字草

朝、大文字草の花が鳥に食べられた、と細が声をあげている。なるほど花弁のほとんどが、蕊だけになっていた。 食べに来たのは、ヒヨドリあたりだろう。昨日近くの沼を散歩して居たら、しきりにヒヨドリが鳴いていた。明朝もまた、食べ残しを狙ってやってくる…

焼かれたカササギはだれの怨霊か

AUDUBONのかささぎ かささぎについて、妙な話(扶桑略記、拾遺往生伝)がある。 10世紀の初め、平安時代。天台宗山門派の僧(玄昭)が、宇多上皇の亭子院で修法中、真言宗の高僧真済の霊がかささぎの姿になって玄昭の前に現われるというものだ。 玄…

オノコロ島に居たのもハクセキレイか

3年前に噴火して12倍の広さになった小笠原の西之島新島に、調査団が初上陸した様子をNHKが報道していた。 ぼんやりと見ていたら、アオツラカツオドリ、カツオドリ、セグロアジサシ、オナガミズナギドリの海鳥に混じって、ハクセキレイの目撃談が出てき…

家持と道真のかささぎの歌

かささぎ続き 大伴家持の歌が、百人一首にある。かささぎが登場する次の歌だ。 かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける 中国の伝承に、「かささぎの橋」がある。七夕の夜に、織姫と牽牛を取り持って、かささぎが天の川の懸け橋になると…

悦話堂のかささぎロゴマーク

かささぎの話のつづきー。 本棚から、かささぎのロゴマークがある本が出てきた。 はるか昔のことを思い出した。 親しかった大学のクラスメートが、突然韓国の大学で日本語の先生になり、しかも現地で結婚式をあげるというので、家族3人でお祝いにソウルに出…

寒がり猫と泥棒かささぎ

神田神保町の猫の居る古レコード店へ行く。 レコードの上に猫がいない。 寒くなったので、奥の部屋で温まっているのだという。 最新入荷の箱の中に、フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団のLPが沢山ある。 かささぎの写真が使われている1枚があった。英…

駿河台下の珈琲店の鳥

お盆休みに仕事。というか、駿河台下の事務所で留守番だ。昼時、外に出ても大半の店は閉まっている。 18日あたりから開きだしたので、ほっとする。80歳の女性が切り盛りする私の大好きな古い珈琲店に出かけると、客が帰ったところで、誰もいない。 壁に…

椿の蜜を吸いにくるメジロをカオドリと推定してみる

毎朝、鳥がやって来る。 椿の花の蜜をすいに、メジロ。 ペチュニアの葉を食べに、ヒヨドリ。 細は、「メジロと目があった。あわてて逃げていった」という。 このところ、僕は、道でよく、セグロセキレイにであう。舗装道路で、尾を上下に振っている。コンビ…

真脇遺跡の鳥形土器とミミカイツブリ

秋になって、近所の沼も少し賑わいがもどってきている。 近くにすむ小父さんが、夕方餌をやると、カルガモ、バンが岸によってきた。小さなバンには、さらに小さな2羽のヒナがついてきた。カルガモの激しい動きのなか、赤い額板のバンの親鳥は、餌をくわえる…

LPジャケットのブラジルの鳥たち

数週間前、日比谷のブラジル料理のオープンカフェで、友だちと軽く食事していたら、楽器をもちよったお客の男女が演奏をはじめた。 「ショーロ?」 ブラジルの大衆音楽ショーロを演奏する日本の若い人たちがいるのだ。 心がほぐれて、いい気分になった。 月…

ヘビとハシボソガラス

久しぶりに多摩のゴルフ場へでかけた。前は、狸がいた。今日はなにに出あうかとおもったら、バンカーでカラスが、蛇をつついていた。 カラスがさらに一羽とんできて、蛇の分け前を手にいれようと、クチバシをいれる。グリーンの上から、こわごわながめている…

カワセミが庭の金魚も捕えるようになるか

土曜の午後、映画「龍三と七人の子分たち」を見に行く途中、池の道でホバリングしながら魚をねらい、幾度もアタックするカワセミの光景にでくわした。 柳田国男「翡翠の歎き」に、我孫子に住む杉村楚人冠がカワセミに怒っている話を書いている。杉村の庭にカ…