寒がり猫と泥棒かささぎ

神保町の猫の居る古レコード店
レコードの上に居ない時があって少し寂しい。
寒くなったので、奥の部屋で温まって、店に出ないことが増えたのだという。
 
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最近、最新入荷の箱の中に、フリッツ・ライナー指揮のLPが増えた感じがしてうれしい。
 
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かささぎの写真が使われている1枚があった。
ロッシーニの序曲集」(59年録音の英国盤)。

泥棒かささぎ」の序曲が入っているので、かささぎが写真に選ばれたようだ。

ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹)のおかげでスパゲッティを茹でるのに、相応しい曲としてインプットされてしまったが、よく考えると、九州北部にしか生息していなかったこともあり、かささぎという鳥にいまひとつ、馴染みがない。

自己流に解釈すると、黒と白の混じったカラス。カラス科だから、とても賢い。
ときどき人間が困る、いたずらする。
 
ロッシーニの喜歌劇のかささぎ(1817年初上演)は、その特徴が生かされている。
戦場から息子が戻ったファブリーツィオ家が舞台。
息子と相思相愛の若い召使は帰還を喜ぶが、たびたび銀食器がなくなることから、召使が犯人だと疑われる。
なんやかんだで、召使は死刑を宣告されるが、直前、かささぎが銀食器を運んだことが判明し、無罪となり大団円。
かささぎが、スプーンを一本一本運んで隠していたのだった。
 
オペラでは、かささぎは、ファブリーツィオ家で飼われている。
かささぎの鳥籠が柱に吊り下げられていて、息子が帰還した時は、かささぎが声を掛けて、いたずらをする。
スプーンを盗みだすからには、時々外に放していたことになる。

フランス喜劇を基にしているらしいので、18世紀中ごろから19世紀初めには、スペインやフランスの田舎では、かささぎをこんな風に飼っていたと推定される。
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日本で鵲(かささぎ)が、記録に残っているのは、日本書紀の598年の記述。
「推古六年夏四月、難波吉士磐金は新羅から帰って、鵲二羽をたてまつった。それを難波杜(生魂神社か)に放し飼いにさせた。これが木の枝に巣をつくりひなをかえした」(宇治谷孟訳、講談社学術文庫

新羅から運んだかささぎは、結局、日本に移入されて繁殖した鳩とちがって、根付かなかったことになる。