寒がり猫と泥棒かささぎ

神田神保町の猫の居る古レコード店へ行く。
レコードの上に猫がいない。
寒くなったので、奥の部屋で温まっているのだという。
 
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最新入荷の箱の中に、フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団のLPが沢山ある。
 
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 かささぎの写真が使われている1枚があった。英盤「ロッシーニの序曲集」(59年録音)。「泥棒かささぎ」の序曲が入っているからだった(リンゴは、ウイリアム・テル序曲)。
ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹)にスパゲッティを茹でる時に流すのに、相応しい曲として「泥棒かささぎ」が出てきた記憶がある。
 黒い体に白の羽根が混じったカラス。カラス科だから、とても賢い。ときどき人間を困らせるいたずらをする。
 喜歌劇のかささぎ(1817年初上演)のストーリーは、この鳥の特徴が生かされている。戦場から息子が戻ったばかりのファブリーツィオ家が舞台。相思相愛の若い召使は息子の帰還を喜ぶが、たびたび銀食器がなくなることから、召使が犯人だと疑われる。
 なんやかんだで召使は裁かれて死刑を宣告されるが、その直前犯人はかささぎだと判明。無罪放免で大団円となる。かささぎが、銀のスプーンを一本一本咥えて運び隠していたのだった。
 舞台の設定ではかささぎは、室内で飼われている。鳥籠が柱に吊り下げられていて、息子が帰還した時は、かささぎが声を掛けて、いたずらをする。スプーンを盗みだすからには、時々外に放していたことになる。
 18世紀中ごろから19世紀初めには、かささぎをこんな風に飼っていたと推定される。
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 日本で鵲(かささぎ)が、記録に残っているのは、日本書紀の598年の記述。
「推古六年夏四月、難波吉士磐金は新羅から帰って、鵲二羽をたてまつった。それを難波杜(生魂神社か)に放し飼いにさせた。これが木の枝に巣をつくりひなをかえした」(宇治谷孟訳、講談社学術文庫
 新羅から運ばれたかささぎは、日本に移入されて繁殖した鳩とちがって、根付かなかったことになる。