かささぎの話のつづきー。
本棚から、かささぎのロゴマークがある本が出てきた。
はるか昔のことを思い出した。
親しかった大学のクラスメートが、突然韓国の大学で日本語の先生になり、しかも現地で結婚式をあげるというので、家族3人でお祝いにソウルに出かけたのだった。
私は大津絵に興味があったので、雰囲気が似ている《朝鮮民画》を見たいと思い、展示場所がないか、徳寿宮辺りを歩き、女子大生と思しき人に英語で話しかけたのを覚えている。
若い女性は、日本からの留学生だった。
結局書店に入って本を探し、読めもしないのに「朝鮮民画」という韓国語の冊子を見つけて買ったのだった。書棚にあったのはその時の本だ。
出版元が韓国の悦話堂。ロゴマークが、かささぎだった。
かささぎは、韓国で国鳥扱いの特別な鳥であった。その「朝鮮民画」にも、かささぎが虎とセットで描かれた2点の民画が紹介されていた。
番いのかささぎが松の枝に止まり、うち1羽のかささぎは、目を見開いた虎と視線を合わせている。
「鵲虎図」といって、よく知られる目出度い絵柄という。
虎は、山神の使いとして、朝鮮のシンボルとして扱われているのは知っていたが、かささぎも、幸福をもたらす「青い鳥」として親しまれてきたのだった。
ただ、2種類の動物の組み合わせの訳は、解説を読んでもよく分からない。
江戸時代の大津絵は、画題に虎があって、朝鮮民画との共通項を感じるが、かささぎは登場しない。やはり、日本では馴染みが薄いのだ。
(続く)