梅雨前の早朝散歩

 土日の早朝散歩を始めた。5~6時ごろに出発し、1時間ほど歩いて戻る。

 小川沿いに歩き、大通りにぶつかる前にUターンする。

 

 

 リードを付けて猫と散歩する壮年の男性とも出会った。猫と散歩できるのは羨ましいですなあ、と立ち話をすると、冬の寒い日も5時ごろ猫にせがまれて家を出るので、そうともいえませんとのことだった。この散歩猫のSNSがあって、フォロアーが沢山いる人気猫だそうだ。

 食いしん坊の鳥にも驚かされる。小魚を漁るコサギがいたので、立ち止まって観察すると、浅い流れに脚を浸し盛んに動き回っている。くちばしで突くとその先に銀鱗がキラッ。5分ぐらいで10尾ほどついばんだ。

 散歩の帰りまた観察すると、同じペースで漁りまくっていた。この4―50分の間、コサギは約100尾の魚を食べた勘定になる(食べすぎではないかと心配になる)。

 

 梅雨になると散歩も少なくなると予想している。雨合羽で散歩したくないからだ。

 タチアオイが白やピンクの花を咲かせているが、梅雨の花らしい。梅雨の前に咲き出して、梅雨が明けると花期を終えるという。今咲いているタチアオイは、梅雨の到来が間近だと告げているのだった。

 

 一方、初夏にもう秋の穂を出しているのが、カラスムギだ。ムギ科の植物はメソポタミア文明が生まれた西アジアの乾燥地帯が原産らしい。

 モンスーンは苦手のようで、梅雨が来る前に穂を出して、さっさと1年のサイクルを終えてしまう。

「麦の秋がおわったと思ったら/人間の世界は夏になった」という田村隆一の詩の一節を散歩で思い出しながら、本当は麦の秋が終わると、日本は梅雨が始まるのだな、と思った。

 

 1時間の川沿いの散策を終えると猫が出迎えてくれる。

 シャワーを浴び、朝食作りに取り掛かる。細はまだスヤスヤ眠っている。