NHK「ダーウィンが来た!」(11月15日放送)で、発光する鳥を目撃した視聴者の質問に答える箇所があって、研究者に聞いたが、結局よく分からないということだった。
ただ、それが鷺であることは、映像を見て分かった。
随分前に書いた、利根川で発光するアオサギを目撃した釣りエッセイストの佐藤垢石(1888-1956)の一文を思い出した。
≪佐藤垢石「狸の入院」で感心したのは、利根川中流のアオサギの話だ。
学生時代から鉄砲撃ちとして知られた垢石は、地元の老人に、夜な夜な人魂がでるのは、キツネの仕業に違いないから退治してほしいと依頼された。
垢石が幾夜もかけて見つけた暗闇の中の光は、人魂でもキツネでもなく、2羽のアオサギだった。
「浅い水中へ長い脚を半ば入れて立ち、ときどき水中へ嘴を入れて水を含み、その嘴を胸毛のなかへ差し入れて吐くと、胸毛から水が二滴、三滴づつ、したたり落ちる。その水滴が、水面に達すると、水面がぼうと明るくなるのである」
「あとで野鳥研究家にきいた話であるが、鷺には胸毛の肌毛にやわらかい短い毛があって、その毛根から脂肪分泌し、これを水滴に注ぐと光りを発するものであるさうだ。鷺は、胸毛に水を注いではこれを水面に落とし、水面に光りを生ずるとあたりの小魚が集まってくる。そこを長い嘴で、ぱくりとやるのであるといふ」≫
ここに記された野鳥研究家の名前が知りたいところだが、発光の原因は、胸の毛根から出される脂肪だということになる。水を灌ぐと発光するというのだ。
テレビでは、数羽の鳥が夜空を飛びながら、発光していた。空中で湿気を帯びて、鷺が光ったのかもしれないな、と番組を見て思った。垢石が情報の出所を明らかにしてくれていたら、もっと科学的な探求が出来るのだが、ちょっと残念である。