ヤツガシラは、米作家で博物学者のピーター・マシーセン(1927-2014)の代表作「雪豹」の中に出てくる。
著者は、ネパール北西の聖山を目指し、ヒマラヤアオヒツジの生態を探る動物学者に同行し、雪豹探しに出る。ヒマラヤ山中、2ヶ月の難行。ダウラギリのジャルジャラの村の近くで、この鳥と出会う。
「紫のリンドウ、ピンクのエリカが咲く湿ったツンドラを横切り、山道はジャルジャラを越え西に向っている。1万1200フィート(海抜3413m)。その時、今日初めて日が差し、ヤツガシラの道化のような翼を照らしたので、私は微笑んだ。/高山の麓の丘に住む多くの鳥同様、ウプパ(ヤツガシラ)はアフリカの鳥だが、私は最近、そう先月、イタリアのウンブリアの山中でお目にかかったばかりだ。/陽の光のような冠毛を持つヤツガシラは、まさに「太陽の鳥」。彼が現れると、間違いなく天気が良くなる。/そして、スーフィー(イスラム教の神秘主義)の神話では、ヤツガシラの胸の印は、精神世界へいざなうサインだ。
私(ヤツガシラ)は見えない世界の使者。
数年海、陸と旅し、山や谷を越え
私たちは本当の王を得た。
彼は山々の向こうに住んでいる・・・。
彼は私たちの近くにいるが、
私たちは彼のはるか遠くにいる。
彼の住む場所は、禁足であり、
どんな舌も彼の名を発することができない。
彼の前に十万もの光と闇のベールがかかっている。
旅が短いと決して思うな。
人はこの尋常でない道を進む獅子の心を持たねばならない。
なぜなら、とても長い道のりで・・・
人は驚きに出会いながらも、とぼとぼと歩いて行くことになるから。
時に笑い、時に泣きながら。」(拙訳ゆえ、間違いはご容赦)
遊牧、騎馬民が用いたオルドス式の青銅製の短剣。董学増氏によると、戦国時代の初期、紀元前4世紀初めあたりのものという。
ヤツガシラは、戴勝鳥と呼ばれ、吉林省では夏から秋に見かけられるのだそうだが、長さ44・5センチと通常より倍も長いヤツガシラ青銅剣を造らせた騎馬王に、興味津々。