小子部スガル

誰がミソサザイを殺したか

ヨーロッパコマドリの赤い胸毛が、キリスト伝説とつながったことは、もっと古くからのコマドリの赤毛の象徴性が、キリスト教によって変容した可能性がある、のではないか。 ヨーロッパコマドリは、今でも欧州で、ミソサザイと深い関係があり、対で語られるこ…

三輪山とチイサコベ

鉱山の採掘は小人が行っていたという伝説は、北欧、英、ドイツなどゲルマン系の人々の間に残っている。 小人は、採掘のほか、鍛冶、刀作りに異彩を放っていたというものだ。 19世紀生まれの英国のコーンウォール州の牧師で、民俗学、考古学者でも知られる…

スガルと三輪山・鉄採掘団

スガル(蜾蠃)について、これまで、何回か触れてきた。 日本書紀に登場する少子部蜾蠃(チイサコベ・スガル)について、ふと思いついたことがあるので、メモしてみる。 きっかけは、河上邦彦氏の「三輪山と鉄」という文章を読んだことだ(「網干善教先生古…

スガとタギの世界観

きよきよしい、か、すがすがしい、か。 キヨかスガか。結構難しいと考えている。 4、5世紀に但馬を治めた人物、多遅摩清日子(清彦)の呼び方である。渡来した天之日矛が但馬で生んだ子供であり、神功皇后の祖でもある(古事記)。倉野憲司校注「古事記」(…

スガルについて新たに判ったこと

日本書紀に登場し、三諸山の大蛇を捕らえる怪力「蜾蠃(すがる)」について、触れてきた。中国でジガバチを意味する蜾蠃=カラ=の漢字名が、何故すがるに付いたのか、興味を持ったのだ。 すがるという言葉は、宮沢賢治の歌に登場。今もハチの意味の岩手方言…

宮沢賢治歌集に出てきたスガル

以前、ジガバチとスガルのことを書いた。 日本書紀の雄略天皇のくだりに、雷を捕えに行く蜾蠃(すがる)という名の男子が出てくる。蜾蠃という表記は、中国でジガバチのこと。なんで、ジガバチという名がついたのだろうか。 といったことを書いたのだったー…

赤い頭が雷神の使いの印

雷神の使いとされたヨーロッパのクワガタムシは特徴がある。オスの角、つまり大あごの部分だけが、やたら赤いのだ。ヨーロッパミヤマクワガタという。 http://homepage2.nifty.com/silverstar/beetle/2008/Luca-cervus08-a.htm 雷神の使いとされるのは、この…

雷の使いクワガタムシのこと

待望の立石鉄臣さんの展覧会がはじまった。仕事でバタバタしてまだいっていない。 夜、集英社の原色昆虫百科図鑑を開いて、立石さんの描いた細密画の昆虫たちをながめる。この昆虫図鑑は、画家のサインがちゃんとはいっている。立石さんは「tetu」のサインで…

再びスガルについて

「日本書紀」の雄略天皇の巻に、蜾蠃(すがる)という人物が登場すること、蜾蠃は、中国語で、ジガバチ=似我蜂のことだ、といったことを書いた。 ジガバチの生態をよく知って、蜾蠃のエピソードを書いているので、日本書紀のこの巻を撰述した続守言は、随分…

倉敷考古館の鉢巻おじさんや、肥人の鉢巻のこと

鉢巻おじさんとか、鉢巻の馬乗りとか、装飾須恵器に多くの鉢巻人物像があるのを知った。 倉敷考古館の「よもやまばなし」に、何回かに分けて紹介されている。実に興味深い。 http://ww51.tiki.ne.jp/~kura-kouko/yomoyama39.html 装飾須恵器は、古墳時代後期…

たたら製鉄の番子の鉢巻

色のことは、色の専門家の話に耳を傾けるのが一番だろう。赤い鉢巻のことだ。 「 上村 六郎染色著作集5」に「たたら師の赤い鉢巻と赤褌」という一稿があった。 「『山陰民俗』第十号によると、池田和生氏の『千種たたら聞書』と云う報告の中に、兵庫県宍粟…

埴輪の鉢巻は赤、と推論する

ハチマキを2廻り巻く像というのは珍しい。 この埴輪が出土したのは、埼玉県加須の古墳。 図像、立体像では他に見たことがない。 あえて近いものを探すと、文献で、また、スガルに結びついてくる。 スガルは、「日本霊異記」の第1の説話に出てくるのだが、…

力士埴輪の赤い鉢巻

ジガバチの英名は、主に2つあって、 1は、腰細の特徴から、thread-waisted wasp 糸の様な細い腰の蜂 2は、red-banded sand wasp 赤い帯模様の砂の蜂 http://photozou.jp/photo/show/151134/28645122 ジガバチは赤い腰の赤が特徴だ。 「日本霊異記」の登場…

足長蜂の巣から、日本書紀のスガルを想う

アシナガバチの巣が、我が家に毎年出きる。 感心するのは、見事な幾何学的なデザインであること、巣を外部にくっつける把手の箇所が、金属のように固く頑丈なこと。繊維でもって、あんなに固くなるのだとしたら新素材に利用できるのではないか、と思うくらい…