ハチマキを2廻り巻く像というのは珍しい。
この埴輪が出土したのは、埼玉県加須の古墳。
図像、立体像では他に見たことがない。
あえて近いものを探すと、文献で、また、スガルに結びついてくる。
スガルは、「日本霊異記」の第1の説話に出てくるのだが、次の次の、第3の説話の雷神の子の話に、二重巻が出てくる。
スガルが雷神を捕えるのが第1の説話なので、一連の流れになっている。
ざっと、紹介すると、
敏達天皇の世、尾張国愛智郡で、農夫の前に雷が落ちて、小さな子どもになった。杖でつつこうとすると、命乞いをし、あなたに子どもを授けます、と約束した。その後、確かに児が生まれた。児の頭は、「蛇を二遍纏い、首、尾を後に垂れて」いた。 つまり、蛇が二巻きしてあって、頭とシッポが後頭部に垂れていた。
この児は力が強く、異能を発揮した。
というものだ。
蛇の二重鉢巻である。
三輪山の神は蛇。
この蛇の鉢巻とも、響きあっているではないか。
さて、埴輪のほうはどうだろう。
東国には、
大神(おおみや)神社=栃木市
美和神社=桐生市
この二重鉢巻の人物も、三輪山、スガル、雷神の子、と一連のつながりを考えていいのではないか。
となれば、スガル同様、赤の鉢巻だった、
と推論する。