血の滴が、かの人の顔の高貴な造作に沿って、したたり流れた。
Droplets were TRICKLING DOWN along the noble features of HIS face.
トリクリング ダウン。 トリクル ダウンは、こんな風に使われていた。
この光景を哀れに思った一羽の鳥は、イエスとは知らず、額に刺さった茨を、くちばしで必死に抜こうとする。抜いたとき、血が飛び散り、鳥の灰色の胸が赤く染まった。鳥は、羽を洗っても色が消えず、どうしたわけか、新たに生れてくる子孫の胸毛にも、ルビーのような赤い輝きがあった。
灰色の身体に、赤い胸毛。ヨーロッパコマドリ=ROBIN REDBREASTの、赤い胸毛の由来は、各地域で変容しながらも、キリスト伝説に結びついているのだった。赤い色は、キリストの血であると。
鳥の名は、「ムネアカ」と訳されていて(翻訳イシガ オサム)、やはり胸の赤はキリストの血。スウェーデンにも定着している説話だった。

ROBINが愛されるわけは、こういうことだったのか。
2015年には、国民投票で、英国の国鳥となっていた。