ワシントンDCのミサゴ、山形のミサゴ

  ワシントンポストのWEB版に、昨秋ワシントンDCから発信機をつけて飛び立った雄のミサゴ(名はロドニー)が、411日に冬営地のベネズエラから戻った、という記事が掲載されていた。
  3月24日にベネズエラを出発、2週間で4700キロの旅をしたことが分かった。平均時速48キロ、高さは数千フィート(6-900メートル)。 南米から北米へは、予想されたハイチなどの島嶼に寄るコースではなく、南米コロンビアからカリブ海を一気にキューバへ向かい、フロリダから東海岸に渡ったという。
 コロンビアからキューバまで、40時間海上をノンストップで飛行した。記事によると、ミサゴもまた片目を閉じて飛び、その間脳の半分は眠ることが出来ると、長時間飛行に関する専門家の話を記していた。
 
 ワシントンDCのANACOSTIA川は、20年前まで汚染がひどかったが、浄化の成果が上がり、今では40羽のミサゴが橋台に、巣を作っているという。ロドニーとともに、ロンという名のミサゴにも発信機がつけられたが、ロンはアマゾンからハイチなどの島に寄って、5600キロの旅をして、一日前に帰還したという。
  今回のプロジェクトを実施したearth conservation corps のHPを見ると、住民とミサゴが大胆な接し方をしていて、ちょっとうらやましくなる。
 
 先週、都内の愛宕にある珈琲店で一服したところ「シゴトとヒトの間を考える」という手作り風の新書を売っていた。山形県鷹匠をしている松原英俊さんのシゴトぶりも紹介されていた。たいへん面白い内容だった。
 よく知られるオオタカでなく、より大きなクマタカイヌワシを用いる鷹匠の松原さんの話には、シロハヤブサハヤブサの興味深い話とともに、ミサゴの話が出てきた。
 松原さんは、日本海海岸を歩いていた時、偶然ミサゴが魚を捕えたところに、出くわしたという。あわてたミサゴは、獲物を残して去ってしまった。松原さんが拾いにゆくと、体長41センチの立派なクロダイで、頭の付け根がくちばしでかじられていた。松原さんは「鳥にも魚の急所がわかるんですね」とミサゴの賢さに感心したという。もちろん「そのクロダイは刺し身にして食べました」。 
 
 日本のミサゴは冬も移動せず、北米のミサゴのように長距離の渡りはしないそうだ。
 
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  敬愛する野田市の写真家からいただいた貴重なミサゴの写真