ヘディン本と猫

 神保町の古本屋ばかり顔を出すようになって、随分とご無沙汰している三田線沿線のとある古本店に入った。仕事で近くに寄ったのだ。

 

 高齢の夫妻は店番をしておらず、息子さんが居た。両親は変わらずに元気かと尋ねると、元気だとのこと。

 長い間飾っていた河東碧悟桐の書額がないが、と聞くと、売れましたという(残念)。

 

 結局、「ヘディン素描画集」を択んだ。丁寧に包んでくれた上に、無地の大きな紙袋を出して、詰めてくれた。

 

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 仕事を終え、家に戻って、本を袋から出してベッドの上に置いておいた。気づくと猫が、袋を見つけて潜り込んでいる。段ボールばかりか、袋も猫にとっていい玩具だ。袋の中で暴れるので、袋が移動してベッドから落ちそうになる。

 

 スウェーデン生まれの中央アジア探検家のスウェン・ヘディン(1865-1952)は、今ではナチスへの協力がクローズアップされて、私の少年時代のあこがれの探検家だった印象と随分と違ってしまった。

 

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 今回、中央アジア探検中に、時間をかけて描き込まれた彼のスケッチの一枚一枚を

見ていると、少年時代に抱いたヘディン像が戻ってくる。

 スケッチで、キルギス人の鷹匠は、左手にハヤブサを止めていた。アラブ式(日本式)の方法だ。キルギスについても、知りたいことが沢山ある。