古本で、絶滅危惧種のアカオオカミの知識を仕入れる

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 モンゴルのレッド・データ・ブック(絶滅のおそれのある野生生物)の1987年版が手元にある。最初に登場するのが、アカオオカミだ。アカオオカミといっても、オオカミではなく、野生犬。dhole ドール と呼ばれている。
  ドールにも、北方のnorthern dhole と 南方の southern dhole とあって、北方種はシベリア野生犬、南方種はインド野生犬と呼ぶ。モンゴルのこの希少種は、シベリア野生犬の一種なのだろう。
 
 犬の祖先はオオカミとされるが、ドールはオオカミと近い野生犬なのだろうか。アカオオカミと日本でいわれるし、モンゴルでも、ツォーボル チョノといって、チョノ=オオカミの一種のような呼び方をする。
 
 分からないので、平岩米吉「狼―その生態と歴史」を探し出して、仕事の合間、神田神保町の古本屋で買って来た。
  ドールは、
 1 赤褐色の厚い毛
2 ふさふさした尾
 が特色。見た目は、オオカミより肢が短く、キツネと間違われることが多いそうである。獰猛で、集団で狩りをする。「夜間十数頭、あるいは、それ以上の群れ(最多三十頭)で、獲物をあさる」。
 
  この本には、黒澤映画「デルス・ウザーラ」の原作アルセニフの「ウスリー紀行第二部」での、アカオオカミについての、ウザーラの言葉を紹介している。
 
赤狼はいつも群れをなして密林をうろつき鹿狩をやる。その際、一頭は勢子の役目をし、他は伏兵となっている。獲物を手に入れると、すぐにばらばらにして持ち去り、あとには血痕と毛が残っているだけである
  
 犬と狼の見分け方のひとつは、啼き声らしい。オオカミは遠吠えをする。howl=遠吠えだ。平岩氏によると、高音で「アオー」、中音で「アオ、アオ、アオ」、低音で「オー」と結ぶという。 「犬のように警戒を主とした吠え声を出すことができない」
  犬の「ワン、ワン」は、家畜になってから発達した警戒の吠え方なのだという。 bark=吠え声だ。 番犬、猟犬、鷹犬にとって不可欠の吠え声 bark は、人間が教え込んだものということになる。
 
  howl と bark の違い。 アカオオカミは 遠吠え=howl ができない。
 
  オオカミは、犬と一緒に飼われると「ワンワン」=bark も習得するのだそうだ。