鷹犬は米やパンを食べさせられた

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 鷹狩りで、鷹のお供をする鷹犬について、あらたな知見を得た。
 動物考古学者の松井章さんが、すごく面白い発表をしていた。
 奈良時代のこと。平城京長屋王の邸宅跡で見つかった木簡群に、犬に米飯が与えられた記述が見つかった。犬を米飯で肥やして、食用にしたという説も飛び出すなか、松井さんは、米を与えられたのは鷹犬だと、主張したのだ。
 
 鷹犬に肉の味を覚えさせると鷹や鷹の獲物に飛び掛ってしまうため、米を食べさせて育てたというのだ。
 
 前に書いたように、鷹犬で一番重要な点は、鷹や鷹が捕らえた獲物に飛びかからないこと。米を用いる米飯飼育法は江戸時代まで続いたという。幕府の記録に、御飯にみそ汁をかけて鷹犬に食べさせた記録が残っているのだという。
 
 13世紀に欧州に鷹狩り技術をアラブから持ち込んだフレデリック2世の「ART OF FALCONRY」(鷹狩りの技術)を捲ると、こんな一節があった。鷹犬飼育法について。
ハヤブサが食事しているとき、鷹犬にはチーズ、パン、あるいはその犬が好むものを与えるべきである
  13世紀の欧州でも犬には肉を与えず、日本の米の代わりにパンやチーズを用いていたことがわかる。考え方は同じだった。
犬には、鷹匠の手首に止まったハヤブサの脚の下で餌を与えること。実際にハヤブサが獲物を捕った時、猟犬に、ハヤブサ自体に注意を向かせず、鷹の脚の下の鶴(獲物)に向かって、ダッシュさせるためだ」 とも書いてあった。