HOWLかBARKか、隼人の犬吠え

 
 
イメージ 1 モンゴル・ロシヤ・ドイツ辞典の「おおかみ」
 
 吠えるといっても、オオカミの「howlか 犬の「bark」か、の違いがある。
 はて、今まで書いてきた、「隼人」のことが気になった。
 
 隼人は、古代、宮廷を守護し、南の方位にあたる門で、大事な行事があったり、外国からの客を迎える際、犬のように吠えていた、と伝えられているからだ。「延喜式」隼人司に、172人の隼人が応天門外の左右に打ち揃い、そのうち、各10人の今来隼人が吠えた、と書かれている。
 
  正月即位は3節吠え、 蕃客入朝の際は、門外で数を決めず吠えた、という。
  隼人はまた、天皇行幸し国境を越えたり、山川の道の屈曲したところに差しかかると、その場で、吠えた。
  左列は「本声」、右列は「末声」と分かれ、揃って大声で10遍吠え、ついで、小声で1遍、最後は、一人が細い声で2遍吠えて結んだという。
 
 吠えるといっても、本声、末声と多声であったり、強弱があったり、「男声合唱」のように見える、がどうだろう。本当にワンワンという犬の吠える様を模したものなのだろうか。
 
延喜式」には、犬吠えとは表記されていないが、日本書紀に、「諸々の隼人たちは、今に至るまで 天皇の宮墻之傍を離れず、犬に代わって吠えて仕えている」とあることから、「隼人の犬吠え」というのが定着している。
  
 これをBARKでなくて、HOWLとして 捉えなおせないものか。書紀の筆者には、犬のように見えたのだろうが、隼人にとっては、狼であったと。
 前回紹介したオオカミの遠吠えは、
高い声で「アオー」
中声で「アオ、アオ、アオ」
最後は低い声で 「オー」と結ぶ。
 
 隼人の吠えるパフォマンスに、なんだか近いように思える。
 隼人が、隼の鷹狩りに関わり、鷹犬の育成にも関わった可能性を前に触れた。隼人は、騎馬民族の文化を保持している。
 
 北方騎馬民は、オオカミを畏怖し、畏敬していたから、隼人も、「犬吠え」でなく、「狼の遠吠え」を演じていたー。
 ちょっと、空想めいているが、私の仮説である。