亀岡の砥石

 桜石の産地周辺には、さらにお宝の山があるのを知った。

 亀岡市湯の花温泉をなお、篠山、福知山方面に進むと、高品質の砥石がとれる丸尾山がある。最近、休日の料理が趣味になったので、包丁を研ぐ砥石には興味津々だ。

 調べると、亀岡市ふるさと納税の対象にもなっている「天然仕上げ砥石」は、28-38万円の寄付をしないと手に入らない高価なものだった。

 砥石は、亀岡だけではなく、兵庫から京都、滋賀の西につらなる丹波山地が、お腹の中に「中生代の砥石山」を抱えているということらしい。
 
 イメージ 1 雪の南丹
 
 そもそもは、武家の世になって、日本刀を磨くきめの細かい仕上砥が必要になり、
鎌倉時代、京都の本間家が京都・愛宕山の周辺、梅ケ畑から合砥を採掘したのが始まりらしい。
源頼朝から「日本礪石師棟梁」の免許が下って、一帯の本格採掘が始まったようだ。
愛宕山の周辺で採掘される「東物」に対し、保津川を跨いだ亀岡のものも「西物」と呼ばれてこちらも貴重な仕上砥として重宝されている。

 イメージ 2 亀岡から愛宕方面を望む
 
 砥石は、甲冑、鉄剣、鉄刀が用いられた古墳時代から出土が目立って多くなっている。古墳の副葬品や、帯から垂らす携帯砥石。身分を示す装飾品としてばかりではなく、鉄を磨き、刃を鋭利にする実用品として活用されていることが伺われる。
 常陸国風土記などで、地元を征服する残酷な西方の兵士の様子が伺われるが、武器とともに砥石を携行する役目の者がいて、刀剣を研いだことが想像される。砥石も軍事装備品だったのだろう。
 このころは、どこの産地の砥石を用いていたのだろうか。現在の産地はー
荒砥  佐賀、和歌山
中砥  京都、熊本、対馬三河、但馬
仕上砥 京都

 が知られる。