つくばの筑波実験植物園に細が行きたいというので、息子夫婦の運転で出かけた。散策の後、土産売り場に黒曜石の鏃の複製品があったので買った。メキシコ製とあり、途端に興味が沸いたのだ。おそらく、国立科学博物館の施設なので、あちらの土産物を此処でも置いていると想像した。
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メキシコで黒曜石と言えば、マヤ文明ではないか。はるか紀元前8000年から17世紀末まで続いたマヤ文明では、16世紀まで金属を使用せず石器を用いてきた。その主たるものが、黒曜石(OBSIDIAN)だった。
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マヤの領域は、メキシコ南部、グアテマラ、ベリーズ、ホンジュラス西部、エクアドル西部。黒曜石は、流紋岩質のマグマが噴出する火山で作られるガラス質の火山岩なので、産地はメキシコ、南グアテマラのシエラ・マドレ山脈の火山地帯に限られているという。
産地によって成分が違うので、製品化された黒曜石の産地が分かり、各時代の交易の様子が推定できるのだった。
そんなこともあり、マヤ研究では経済活動、技術力、宗教儀礼、社会構造などを解明するのに、黒曜石は重要なファクターとなっている。
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メキシコの黒曜石は黒々として艶があり、透けた八ヶ岳のものとの違いはすぐ分かった。
さて、現実に目を向けてみると、10月末国内の犯罪、暴力を恐れてホンジュラスから米国を目指した「移民キャラバン」が発生した。7000人にまで膨れながらグアテマラを通過し、メキシコ国境に差し掛かっている。さらにマヤの領域を超えて行く先、国境で待ち構えているのはトランプ大統領の米国の兵士たちだ。
メキシコの黒々とした堂々たる黒曜石の鏃を触ってみながら、歴史の激動の只中にいることを思う。