中国・洛陽の九重塔の風鐸について記したが、かつて日本にも九重塔が建てられていた。
白河街には、法勝寺をはじめ、尊勝寺など、6つの勝の名の付く寺院(六勝寺)を御願寺として建立した。
象徴として、まず、法勝寺の高さ80mもの九重塔を建立。しかも、八角屋根であった。
現在、九重塔は模型やCGで再現され、目にすることが出来、小さな風鐸もついているようにもみえるが、文章で触れられていないし、問題にされていないようだ。
洛陽の永寧寺は9層で130個の風鐸がついていて、音が遠くまで聞こえたことが記されていた。
法勝寺は、同じ9層だが、八角屋根のため、各層8つの軒がある。
永寧寺のように、相輪部などに付いていなかったとしても、最低9×8=72の風鐸がついていた可能性が高い。
一般的な五重塔の5層×4=20個よりはるかに多い。
九重塔に本当に、風鐸はついていたのだろうか。
法勝寺の跡地からは、古瓦、泥小塔などが出土している程度だが、宝塔を描いた塔婆文軒丸瓦が2例出ている。
九重塔とは違うが、堂々とした宝塔で「相輪から軒端につながった鎖や、軒下には小さな風鐸もみえている」(景山春樹「仏教考古とその周辺」)。
同時期の類似品の仁和寺所蔵宝塔文軒丸瓦が参考になる。確かに、風鐸がしっかり描かれている。
京都市に吹く風は、11月21日から5月7日までが強く、平均風速は13.6㌔㍍超。11月29日から1月27日までは西風が多く、以降は6月まで北風の頻度が高いのだという。(WEATHER SPARK「京都市における平均的な気候」)