京都の嵯峨野の寺と縁ができてから、嵯峨野から保津川を遡っていった丹波もまた、興味深い地であることに気づいた。嵯峨野の寺に、丹波の俳人、西山泊雲、野村泊月の句碑があるように、山陰本線で丹波と嵯峨野はしっかり結びついている。
細の付き添いで、卸売りセンターの歳末セールに出かけた折、宝石の原石やら化石やら、自然石を扱う卸売りの店があったので、覗くとこの桜石があり、これも縁かと、ピンクの方でなく、銀色の安い方の桜石を購入した。
丹波山地には、菫青石という岩石があり、その六角柱の結晶が分解して、白雲母、緑泥石の結晶に変化する際、桜石が生れるらしい。3つの結晶が互いに貫いて、各60度の6弁のような形となり、それが、桜の花びらのようなので、この名となったという。ただし、桜は5弁である。
自宅で広辞苑を開くと、「桜石」の項はなかった。古語辞典にも、ない。
世界中で見られそうだが、桜石が表面に現れ、簡単に見られるのは、日本、それも亀岡だけという。ピンクの桜石は確かに、桜のようだが、白い桜石は、同じ6角形の雪の結晶にも似ている。