「赤いニシンってなんだ」
USオープンテニスの女子決勝で、敗者のセリナ・ウイリアムズが審判に、「SEXISM(女性差別)」だと抗議し続けた行為は、赤いニシンだ、とBBCのHPで、英国のプロテニス選手グレグ・ルーゼドスキー氏が書いていた。
RED HERRINGは、ニシンの燻製のことで、「注意を逸らすもの」という意味があるのだった。
この場合、論点をずらすもの、あるいは詭弁、と訳せばいいか。
審判は、セリナ側に2つの違反行為があったと判断した。試合中観客席からコーチがセリナに指示を出したこと、続いてセリナがラケットを叩きつけて折ったこと。2つの行為で1ポイントのペナルティを科した。
それに対して、セリナはラケットを折っても男性選手には、ペナルティを課さない。審判の判断は「女性差別だ」と執拗に罵って抗議したのだった。
抗議内容が、ルール違反から性差別の問題へと論点をずらしているものだと、同氏は「ニシンの燻製」と表現したのだった。
ニシンの燻製は、凄い匂いがする。英国伝統のハンティング文化(キツネ狩りなど)で、猟犬が獲物を匂いで追うことをしつけるため、わざと違う方向の道に、匂いの強いニシンの燻製を置いたことから、この意味に使われだしたのだそうだ。それで、「人の注意を逸らすもの」「人を惑わせる情報」といった意味になったのだという。
毛織物の模様をヘリング・ボーン(ニシンの骨)といったり、英国人はニシン好きだな、と思った。
ただし、英国では、漁獲量の多い5つ魚介類は、たら、こだら(もんつきだら)、つな(まぐろ)、さけ、えび。名物のドーバー海峡の舌平目などは入っていないし、ニシンも入っていないのだった。
ちなみに、USオープンは朝からWOWOWで観戦していたが、私も、赤いニシンだと思う。