中村芝翫丈が京都を回るBS朝日の番組で、1624年創業の唐紙つくり「唐長(からちょう)」(修学院水川原町)を訪ねていた。店が保存する江戸時代以来の唐紙板木650種の中に、この兎2羽の踊るような模様の板木があったのだ。
江戸時代の最盛期には、唐紙つくりは京に13軒あったが、今は「唐長」だけになってしまったという。店に残る最古の板木は寛政3(1791)というが、意匠はその前の面影をとどめているのだろう。
京へはいけなかったが、テレビを見て、簡単に気になっていたことが氷解してなんだかうれしい。
では、この兎のデザインは、なんなのだろう。安土桃山時代から江戸初期に大流行した「波うさぎ」らしい。琵琶湖の湖面の波を駆け回る兎をデザインしたものだ。
謡曲「竹生島」に出てくる一節が、もとになっているという。醍醐天皇の治世、大臣たちが春に休暇を得て、琵琶湖の竹生島の竹生島明神の参詣に出かける。ちょうど翁と海女の乗る釣り船があり、一行は乗り込んで島に向う。
船上からの景色の面白さー。
「緑樹影沈んで魚木に登る気色あり
月海上に浮かんでは兎も波を奔るか
面白の島の景色や」
《緑の樹影が湖に映って、魚が木を上っているかのよう
月が湖面に映って、月に棲む兎が波の上を走っているよう》
月の兎が湖の波をかける様子が、この唐紙のデザインだった。
古い美術品ばかりか、什器にも用いられている由。
ではなぜ、2度目に冷やし中華大盛を頼んだ時、冷やし中華の半チャーハンセットを持ってきたのか。大盛の注文が増えては利が薄くなるので、大盛のお客に対しては、一応半チャーハンとのセットを持ってきて、おばさんは、こんなセットもあるよと、アピールしているのだった。