2013-01-01から1年間の記事一覧

定家のライバルが面白そうだ

国文学に詳しい人は、いまさらなにを、とおもうのだろうが、平安時代から鎌倉時代への移行期にいきた藤原顕昭という人物がなんとも興味深い。「ふじわら・けんしょう」(1130年ごろー1209年ごろ)。 「幽玄」の世界へむかった和歌の藤原俊成・定家親子と、歌…

「清俗紀聞」に記されていた凧のこと

凧をトンビ凧、「紙鳶」と表現したのは、日本が英国のkite同様、凧を鳶ととらえていたからと書いたが、「紙鳶」という言葉は日本製ではなく、そもそも江南地方でつかわれた中国語だった。 18世紀後半の江戸時代、長崎奉行の中川忠英がまとめた図入りの「…

凧が、蛸だったり烏賊だったりするのはヘン

連休で、長男が帰ってきたので、一緒に猫をどうぶつ病院まで、検査につれてゆく。待合室では、ミャアミャアと大声でなきまくって、少女に「ウチの猫とちがって、どうしてこんなに元気になくの」となでまわされ、診察室では前回についでウンチをし、「たくさ…

山羊をオンブして自転車をこぐアフリカ人に感心したこと

平安時代の犬飼が、京都の川の深瀬で猟犬をオンブして渡って面白がられたことを、前に書いたが、山羊をオンブして自転車に乗る男性の写真をWEBで発見した。 http://www.funnydrivers.it/tag/capra/ アフリカらしい。山羊が男性を信頼して掴まっている様子…

暑い一日に魚を捕る猫をおもう

猫は魚をくわえる。中国では「魚」は「余」と同じ発音なので、「余」=余剰=ゆとりに結び付くとみて、「魚」を縁起がいいもの、として考えている。「福」と同音の「蝠」=コウモリを、縁起のいいものとして好む様に。 めでたい筈の、魚をくわえる猫の図像を…

近所で鳩が襲われた。犯人はあの黒いヤツか

今朝、鳩が襲われた。場面を目撃したわけではないが、羽根が散乱していた。散乱ぶりが、惨事を物語っていた。 襲撃犯は猫か鴉か猛禽類か。元気な猫は近所に見かけない。チョーゲンボウなど猛禽類も見ない。となれば、黒いキミ、鴉容疑者が怪しい。 鳩の血痕…

英国テニスの椿事から、大正期の名もない編集者のことなど

WOWOWのウインブルトン・テニスの中継を深夜遅くまでみて、寝不足の毎日だ。 英会話のスチュワート先生はロンドン育ち。ハイスクール時代に、マッケンローとゲルレイティスにサインをもらったことがあるという。ウインブルドン前哨戦として、芝のロンド…

なぞの、猫好き版画家は、森田恒友かあ

大正5年の「歴史地理」に掲載された、 この版画の作者さがしをつづけてみた。 明治末から大正にかけて、創作版画のうごきがあったので、 似た雰囲気のものをさがしてみたところ、 明治40年(1907年)に創刊された、同人誌「方寸」にでくわした。 山…

大正時代の学術誌に登場する猫

なんで猫なのだろう。 大正5年9月発行の、学術誌「歴史地理」の質問コーナー「問答」に 猫の木版画のカットがあった。 後ろ姿。長い尻尾は、左にまげている。 「織田信長研究に要する書目を示されんことを乞ふ」という質問に、 そぐわない大きな猫のカッ…

猫の神様ではなく、虎爺だった話

NHKBSで放送している、岩合さんの、世界ネコあるきには、我が家の猫も、はげしく反応する。 シリーズがはじまったころは、TVの前にとんでゆき、声をあげ、前脚で画面をたたいた。しっぽをたてて興奮することもあった。そのうち、2次元と3次元の区別…

ロンドン塔のワタリガラスのパンフが出て来た

図抜けて賢く、いたずらもののため、不吉の象徴として「迫害」された飛翔の名手「ワタリガラス」について、前から書いてきて、いまも、英国・ロンドン塔にすんでいる、ということがわかったけれど、実際にどうなのか、いまひとつはっきりしなかった。 子供と…

想い出したロンドンの猫のこと

June is the cruellest month. 僕にとっては、4月でなく、6月が、一番残酷な月。 この月、母と兄と、義母と、友人を亡くしている。 ロンドン住まいだったこの友人は、ひと夏、長男を呼んで面倒をみてくれた。 クライストチャーチへは、迎えにいった僕と子…

19世紀はじめの英国版画とアジサイと

未明のサッカー中継もみずにがまんして、睡眠をとり、早朝に起床し、いざ、出発というとき、今日の×××は、「降雨で中止にします」の電話。 しかたなしに、猫と一日すごす。猫は年とったせいか、ねむってばかりで相手してくれないし、部屋の整理をする。 息子…

カワウソ犬は日本版レトリーバーか

13世紀にモズを用いて鷹狩をした名人鷹匠が信濃にいたが、オオタカ、ハイタカ、コノリなどの通常の鷹ではなく、魚を捕るミサゴを用いた鷹狩の伝承もあったらしい。 「ミサゴ腹の鷹」といわれ、ミサゴと他の鷹のハイブリッドということだった。二本松泰子氏…

控えめなレッド・ミッチェルとイソシギと

前に紹介した、猫とベースをひくLPジャケット写真の、レッド・ミッチェルには、ベースをひかないLPがある。同い年の親友、RED KELLYに、ベース演奏をゆずって、レッド・ミッチェルはピアノ演奏にまわっている。 若かったギターの名手ジム・ホー…

ジャズベースの上の猫

随分前、赤坂のライブハウスで、米国のベース奏者と雑談したことがある。 彼は、ズービン・メータが指揮者だったころのロサンゼルス響の団員だったが、ジャズ演奏の道を選び、来日して小さなライブハウスで仕事をしていた。 気さくな黒人で、身の上話を自ら…

さいスタで一緒に応援したカラスの兄弟

奇跡的に切符が手にはいったので、 さいスタに昨日出かけた。サッカーの応援は、日本開催のW杯以来だ。 興奮しながら、さあ、日本代表の応援に専念だ! とおもったら、 カラスのぬいぐるみが2匹いるではないか。 いかんいかん、目がいってしまう。 JFA…

ミラーズ・キャットは、トルコ猫のヴァンか

およぐ猫は確かにいた。 伝説のおよぐ猫、水車屋の猫=ミラーズ・キャットを、英国人もまた、長い間、さがしつづけていたようだ。 1955年、英国の愛猫家は、東トルコのヴァン湖畔で、水遊びをする猫を発見した。 耳の周辺と、尻尾だけに色がついている特…

水嫌いの猫と、金魚とミラーズ・キャッツ

ネコは、水が嫌いで、季節の変わり目の「お風呂」でも、大さわぎとなる。 温泉すきの猿、サーフィン犬がいるのに、ネコはカラキシ、水が駄目である。 随分前、清澄公園で、お馬鹿ネコにであった。 おおきな池を群なして泳ぐ鯉が、岸にやってくるので、とびか…

鳥が家に入ったら、柳節

神田神保町にある中国粥と紹興酒の店は、大きな柳が目印になっている。柳は安らぎをあたえてくれるからいい、あくせくしなくていいよと。 しかし、目印になるくらいだから、柳が東京の街中からへっているのだろう。 北京の柳 ちょっと、気分がしずんでいるの…

ハープシコードとワタリガラスの研究家がいた

世界で、ワタリガラスのあつかわれ方は 1 賢い鳥 2 不吉な鳥 に2分されることがわかった。 2 は、とくに欧州。「a bird of ill omen」 として、魔女のように、数世紀にわたって大量に駆逐されたようだ。 ハープシコードに、ワタリガラスの…

竜巻博士に終始してワタリガラスの成果なし

スチュワートさんとの英会話教室は、お互いしりたいことを、きく時間にかわってしまった。 きのうは、米国をおそった巨大竜巻の新聞記事をだして、 「竜巻の規模をさす、EHのHは、HUJITAとある。日本人の名ではないか?」 といきなり、きいてきた。…

ワタリガラスとレクター博士

ネコは片足で体をかくのが普通のことだけど、空をとびながら、片足で体をかく、鳥がいるという。18世紀のギルバート・ホワイトは「セルボーン博物誌」でかいている。ホントなのだろうか。 「高らかな鳴き声もろとも、あおむけにのけぞり、あわや地上へ落ち…

セルボーン博物誌で近所の鳥を照会してみる

「夕風や水青鷺の脛をうつ」 と、与謝蕪村が作句していた18世紀の後半頃、英国南部で、牧師の手つだいをしながら、ギルバート・ホワイトが野鳥を観察していた。 彼の「セルボーン博物誌」(寿岳文章訳、岩波文庫)を古本屋でみつけて、ひろいよみして、愉…

狂言「政頼」にでてくる鷹の小道具

鷹狩は狂言に出てくる。 2006年、大蔵流の茂山千五郎家が40年ぶりに復曲した「政頼(せいらい)」。 地獄に落ちそうになった鷹匠の政頼が、六道の辻で閻魔、鬼どもに鷹狩を教える話だ。 仏の教えのせいで極楽にゆく人が増え、地獄は閑古鳥。閻魔、鬼が…

千葉市美術館で見た「エアー・琵琶」

雨の中、しぶる細とともに、千葉市美術館まで電車とモノレールをのりつぎ、「仏像半島」展を見にいった。 千葉県下の仏像をあつめる展示は2度目らしいが、仏像の特徴がでていて面白かった。千葉では古来、薬師信仰が盛んだったのだという。「七仏薬師」とい…

300年前のイラストレーターに興味津々

和漢三才図会のイラストレーターの悪口をかいたが、このイラストレーターはにくめないところがある。 鷹匠の次の項目は「遊偵」。遊偵という言葉をしらなかった。「志のひのもの」とあり、忍びの者のことだった。念のため「広辞苑」で「ゆうてい」をさがした…

モズに「鷹狩」をさせた信濃の業師

ワシ、フェニックス。シュメル文明からはじまって、世界の神話で太陽を背おってはこぶ鳥は、実在、空想をとわず、巨大で風格のある存在だ。 だから、次の俳句をしって、ちょっと新鮮だった。 かなしめば鵙金色の日を負い来 加藤楸邨 http://ja.wikipedia.org…

ゲノムでわかった亀を幻想する

理化学研が、亀のゲノムをしらべたら、トカゲ、ヘビより、ワニ、トリ、恐竜に近い「進化的起源」をもつことがわかった、そうだ。 また、ハ虫類では初めて、哺乳類に匹敵する臭い受容体を多数もつことを発見したとも。 理系の用語は、まどろっこしいが、亀は…

犬を負ぶった平安時代の犬飼におもうこと

黄金週間の一日、 3家族があつまって、知人宅の庭で恒例のバーベキューをした。 2家族の主人は、はたらきざかりの最中、相ついで、なくなってしまったので、 ご主人たちの、在りし日をしのぶBBQにもなっている。 今年は、猫の話でもりあがった。 みな、…