控えめなレッド・ミッチェルとイソシギと

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 前に紹介した、猫とベースをひくLPジャケット写真の、レッド・ミッチェルには、ベースをひかないLPがある。同い年の親友、RED KELLYに、ベース演奏をゆずって、レッド・ミッチェルはピアノ演奏にまわっている。
 
 若かったギターの名手ジム・ホールをさそっての、ドラムなしのトリオ演奏だ。
 
 レッド・ケリーは、孤児院の鼓笛隊でドラムをはじめたが、幼児の時にかかった、ポリオが原因で、ハイハット・シンバルがうまくコントロールできずにベースに転向。ハイスクールを中退し、16歳でプロになったという。
 
 一方、大学で工学をまなびながら、プロになったレッド・ミッチェルとNYでおたがいプロとしてしりあい、ウマがあったようだ。
 
 
 活動の場を西海岸にうつした後も、2人は、仕事をおえた後(アフターアワーズ)、一緒に演奏し、その時は、ミッチェルがいつも、ピアノにまわったという。録音は、1960年4月ロスで。レコードジャケットは、西海岸の浜辺の写真をもちいている。
 
 そういえば、西海岸のカーメル近くの港町で、鳥の簡素なフィギュアをみつけて、土産にかったおぼえがある。あった、あった、棚の上から、探しだした。店内の中で、いちばん、シンプルで控えめなものをえらんだのが、これ。
 
 RED BACKED SANDPIPER 
 
という名のイソシギ。もともとは、この鳥のフィギュアは、猟のオトリとしてつくったものらしい。
  
 2人のベーシストは、穏やかにジャズ人生をおえたようだ。北欧に移住したミッチェルのほうは、スウェーデングラミー賞をもらい、最後は帰国して、92年に65歳の生涯をとじ、ケリーのほうは、晩年にシアトル・ジャズ殿堂入りし、2004年、78歳でなくなった。
 
  ジャズマンに勲章は似合わないが、いかにも、彼ららしい、ちょいと控えめな栄誉にもみえる。