千葉市美術館で見た「エアー・琵琶」

   雨の中、しぶる細とともに、千葉市美術館まで電車とモノレールをのりつぎ、「仏像半島」展を見にいった。

 

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 千葉県下の仏像をあつめる展示は2度目らしいが、仏像の特徴がでていて面白かった。千葉では古来、薬師信仰が盛んだったのだという。「七仏薬師」という知らなかった仏像が展示されていた。
 七体の薬師仏をそろえたもので、おそらく北斗七星の信仰、妙見信仰と習合したらしい。7を聖数と見る点は、北斗信仰の強いモンゴルなどと似てなくもない。
 
 興味をひかれたのは、頭に蛇をまいた立像があったこと。南房総市の真野寺の二十八部衆立像の一体。上半身裸で、目録には「力士像など」と記されていたことから、てっきり蛇を巻いた力士像とおもった。スガルとの関連で前に書いた、「日本霊異記」に登場する雷神がさずけた、頭に蛇を巻く怪力の子供をおもいだしたのだ。
 
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 違っていた。「摩睺羅伽」(まこらか、まこらが)というのだった。目が5つある護法善神の一つで、二十八部衆のほか、天竜八部衆十二神将に含まれることがあるのだという。
 大蛇が神格化されたもので、琵琶をもった音楽の神でもあった。京都・蓮華王院三十三間堂、奈良・興福寺などに収蔵されている。
 京都・清水寺のものは、琵琶をもって演奏している=下左=。真野寺のものと両手の位置が同じ=下右=であることがわかった。
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 真野寺のものも琵琶をもっていたと考えられる。琵琶が失われて、エア・ギターならぬエアー・ビワを演じている姿になったようだ。