2021-01-01から1年間の記事一覧

コロナ自粛と虚子のコレラ句

新型コロナの蔓延もあって、夏の季語として俳句で扱われていた「コレラ」の句も、見直されているようだ。 神保町のA書房の100円本で見つけた昭和3年「虚子句集」には、「寝冷」と「冷奴」に挟まれて「コレラ」の季語が置かれ、8句が掲載されていた。 …

4月22日の夏服

日本歳事史 京都の部の見返し 最高気温が27℃というので、夏服を探して出勤する。 はやばや4月22日に衣替え。 わが事務所ではクールビズは世間並みに5月1日から。温暖化が進んでいて、春の短さを思い知らされる。 近所の神保町のA書房の100円本で見…

ウサギとスズメの山野草を択んだ

秋に山野草の会に初めて行って手に入れたヒキノカサが、めでたいほど黄色の花をつけたので、春の山野草の会の知らせに、細について、いそいそと出かけたのだった。 愛好家が出品した鉢を見て回る。伊吹山や琉球の名がついた山野草ー。私は、シコタンハコベ(…

店仕舞いの古書肆と熊楠と

4月末で店仕舞いをする本郷三丁目の古本店に、昼休みに出かけてみた。閉店割引セールのせいか、お客さんがいつもより多い。 目当ての本は、売れていた。 この前ここで見つけた画家中川一政のエッセイ「山の宿」が、大変いい文章だったので、また中川一政の…

ゴシキヒワを狙うバロッチの猫

心配事が多く、気分を変えるために休日、明るい音楽を聴いて過ごすことにした。 まずしばらく聴いていないヴィヴァルディの「フルート協奏曲作品10の3」。副題が「ゴシキヒワ」で、日本には生息しない欧州の色鮮やかな五色の鳥の賑やかな鳴き声を模した明…

古本店の店仕舞い

本郷三丁目交差点にある古本店が、店仕舞いする。地下鉄で2駅、出かけてみると、おかみさんが坐っていて、あと1年頑張るといっていたんだけど、主人の体力がもうもたないと、4月で閉めることにきめた、といわれた。コロナとは無関係で、理由は高齢による…

5-60年代のカバーデザイン

休日なので、前夜のうちにラフテーと味付け玉子を作り、今朝沖縄そばを湯掻き、それにのせて、細と食べた。ラフテーが今回も固い。細は「圧力なべを使ったらどうか」というが、沖縄の人は普通に柔らかくできているから、もう少し試行錯誤を続けることにする…

古本に挟まれた70数年前の履歴書

宣言解除で神田小川町は、急に人出が増えた。きょうは、事務所でのんびりしている。 先週は神保町を散策し、馴染みの古書店の100円本を覗き、大正13年発行の「江戸切支丹屋敷の史蹟」など3冊を択んだ。 戻ってみると「江戸切支丹屋敷の史蹟」に、2つ…

気にかかる鼠図

大正13年に発行された日本木版画粋を整理していたら、「鼠と瓜」の版画があった。 中国は13世紀、宋末元初に活躍した文人画家銭舜挙の作品として紹介してあり、日本にある銭の代表作と記してあった。銭は、今は「銭選」の名で通っている。 瓜の中身を親…

大津絵の花売娘に見おろされ

書室の壁の上方から、ここ十何年も私を見おろしているのが、「花売娘」だ。 大津絵の模刻で、あらためて確かめると、大正13年に日本木版印刷(株)の田中甚助によって刷られた木版だった。 印刷社の住所は東京市外田端635番地。芥川龍之介、鹿島龍蔵ら…

ラミュ「兵士の物語」から「恐怖の山」へ

先月ヒマラヤの氷河が決壊してインドの村を濁流が襲い大量の死者が出たというニュースがあった。現地では氷河に極秘で埋められた核爆発装置が作動して崩落が起きたのだ、とのデマが流布しているとのことだった。それほど、氷河の崩落が予想外で凄まじいもの…

ヒキノカサが咲いた

朝、細が声を上げている。 足を運ぶと、鉢を持っている。 ヒキノカサの花芽からついに小さな黄色の花が開いたのだ。 昨年10月24日の山野草の展示会に付き合って、蛙の形の葉っぱが気に入って買ったものだ。キンポウゲ科の植物だった。 11月18日、鉢…

1917年ローザンヌのカフェで

休日に、ストラヴィンスキー「兵士の物語」のLPを、翻訳台本に目を通しながら聴いた。第一次世界大戦下に、ストラヴィンスキーが手掛けた作品だ。 ナレーションや台詞が多く、音楽が少ないので、猫のいる古レコード店で手に入れた後、うっちゃっていたのだ…

ストラヴィンスキーからアテネ五輪開会式へ

五輪大会で開催国のトップとして女性が仕切ったのは、2004年のアテネ五輪が初めてだった。1955年生まれのGIANNA ANGELOPOULOS-DASKALAKIという当時40代後半の女性が腕をふるった。 政治家で、開会式ではIOCロゲ会…

鞍馬山の領収書印

神田には、関東大震災直後に建てられた古い建築の居酒屋があり、昼を食べに行く。 高い天井の下、土間に据えられた大卓で、焼き魚などを食べる。 昼は静まり返っていることが多い。 コロナ自粛の前は、夜は酔客であふれ、店外に列が出来るほどだ。近くの蕎麦…

節分、立春大吉、初雷の鬼退治3点セット

秩父の観音霊場の札所で、裏の岩山を家族でひーひー言いながら、登ったことがある。修験者たちの修行の名残を感じさせる、ちょっとしたロッククライミング体験だった。 降りた後、境内を散策したが、庫裡の玄関に「立春大吉」の札が貼られていた。曹洞宗寺院…

ピールチョコを買いに出て

細の誕生日だったので、好物のオレンジピールチョコを買いに、本郷三丁目まで。 ピールチョコといえば、今では本郷三原堂を頼りにしている。 「ジャンヌ」といって、ココアパウダー、ビターチョコと甘さを抑えた素材でオレンジピールを包んでいる。 このチョ…

子猫と椋鳥

届いた「完訳クルイロフ寓話集」には、猫が登場する話が9つあった。 イソップなどギリシア時代からの物語なのか、オリジナルなのかは分からない。 猫は、食糧を盗み食いする存在として描かれるのが大半だが、川カマスに忠告し命を助ける猫、狼に村人のこと…

ショスタコーヴィチに寓話を教えられる

ショスタコーヴィチが16歳の音楽学校生の時に作曲した小曲を聴く。猫の居る古レコード店で、LPの入った箱の上に置いてあったのだ。前の客がLPを取り散らかして、この1枚だけ買わずにそのまま放置してあった。せっかくなので、それも加えて買った。 「…

蛙と富士の取り合わせ

今年の正月、細が玄関の棚に活けた花に、我がヒキノカサ(蛙の傘)の小鉢も添えられていた。(来客が少なかったせいか、誰にも注目されなかったが)。 玄関正面には、正月らしく富士山のリトグラフ。 富士山と蛙。この取り合わせは、 富士山と蛙の詩人、草野…

田崎草雲と神田明神

仕事始め。昼休みに近所の中華店へ行く。若い主人が、元旦神田明神に参拝後、目撃した淡路町の交差点での自動車炎上事故の動画を見せてくれた。スタバの前で、火と煙が立ちのぼっていて、消防、警察が駆けつけている。報道もなく、知らない出来事だった。 店…

ちょろぎにこだわるわけ

若いころに興味を持ったものも、年を取ってくるとどうでもよくなって忘れてしまうものなのだと、実際に年を取って初めて気が付く。若いころに盛んに読んだ愛読書もそうだ。 しかしふとしたことで思い出すことがある。正月で思い出すのが、澁澤龍彦のことだ。…