ヒキノカサが咲いた

  朝、細が声を上げている。

 足を運ぶと、鉢を持っている。

 

 ヒキノカサの花芽からついに小さな黄色の花が開いたのだ。

 

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  昨年10月24日の山野草の展示会に付き合って、蛙の形の葉っぱが気に入って買ったものだ。キンポウゲ科の植物だった。

 

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 11月18日、鉢に植え替えると、茎が増えて元気に成長していった。寒気を心配して夜だけ玄関に取り込んでいたが、正月過ぎて枯葉が目立ってきて、一時はこのまま枯れてしまうのかと覚悟した。

 

 細は、家に取り込まないで夜間も外気にあててみようというので、従った。暖かい日となった数日前に、花芽が4つ付いた。花芽のある茎は他の茎と違って長く、葉の形も違っていたので、ひょっとして、違う草花が紛れたのかもと疑った。

 

 今朝、それがヒキノカサだと証明された。4-5月に開花すると「日本の野草」(83年、山と渓谷社)に記されていたが、2月27日に早々と一番目の花が咲いたことになる。

 

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 手に入れた時、なぜヒキノカサ、蛙の傘という命名か、気になったのだが、今日あらためて思ったことがある。

 花の茎は、他の茎と違って、長く上方に伸びていて、さながら花は、「蛙の葉」たちにとっての「黄色の傘」になっていることだ。

 

 蛙が住む水辺に咲く花なので、この名がついたとされる。「この名は蛙の住む湿ったところに生え、花を蛙の小傘にたとえたもの」(松田修氏)という通説に、ちょっと異論を唱えてみたくなった。

 沢山の葉の蛙たちの頭上で輝いている黄色の傘。花はこれから次々に開花してゆく。わが家にも春が来たようだ。