4月22日の夏服

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日本歳事史 京都の部の見返し


 最高気温が27℃というので、夏服を探して出勤する。

 

 はやばや4月22日に衣替え。

 わが事務所ではクールビズは世間並みに5月1日から。温暖化が進んでいて、春の短さを思い知らされる。

 

 近所の神保町のA書房の100円本で見つけた「日本歳事史 京都の部」(江馬務、内外出版、大正11年)が、机の上にあるので、「衣替え」の項を探してみた。

 

 四月一日

 更衣(ころもがへ)

 今日から宮中では総て夏装束に更へられる。同時に民間では今日から綿入を改めて袷と着更へる。仏刹でも今日から夏の装束と取り替へる。

 

 4月1日は、太陰暦の表記なので、今年は太陽暦でいつになるか調べると、5月12日だった。4月22日は3週早い衣替え。

 クールビズが叫ばれる以前は、衣替えは6月1日。あの頃は、それで通用していたのだった。

 

 「日本歳事史」には、面白い付け足しがあった。

 

 「四月一日といふ人の姓がある。ワタヌキと読むのもこの理(ことはり)である」。更衣で、綿入から袷に変わって、綿抜きとなるから、ワタヌキさんというわけだ。

 姓で言うと「小鳥遊」が、小鳥が遊べるのは猛禽類の鷹がいないからなので、タカナシさんと呼ぶのを思い出した。

 

 夏服の朝、「この国を捨てばやとおもふ更衣」(安東次男)の句が口をついて出てきた。以前は気負ったこういう句をこのんだが、今では

「御手討ちの夫婦なりしを更衣」(蕪村)のような、恩赦された夫婦の衣替えを描いた平凡で、めでたい句が好きになっている。