ピールチョコを買いに出て

 細の誕生日だったので、好物のオレンジピールチョコを買いに、本郷三丁目まで。

 

 ピールチョコといえば、今では本郷三原堂を頼りにしている。

 

 「ジャンヌ」といって、ココアパウダー、ビターチョコと甘さを抑えた素材でオレンジピールを包んでいる。

 

 このチョコを作っていた「ジャンヌ・トロワ」は、もともと丸ノ内線の駅近くの店だったが閉店し、三丁目交差点の和菓子店、本郷三原堂の「洋菓子部」に収まっている。大學最中、塩せんべいが並ぶ和菓子のメーンの陳列棚の、左側の壁の一角にジャンヌはサブリナ(ミルクチョコとレモンピール)などとともにひっそりと置かれている。

 

 細は冷蔵庫に入れて、何日もかけて大切に食べている。それ位好きなのだ。

 

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 交差点を渡ると、古本店の看板。時間があったので覗くと、奥まったビルの中に店舗があった。本があふれるように雑然としていた。美術関係が多い印象。豆本もあり、小川国夫のサイン入りという文字が気にかかった。

   宇野浩二「回想の美術」(東出版、76年)を見つけ、偶然開いたページに画家・森田恒友の挿絵が2点。即買うことに決めた。大阪出身の作家宇野が同郷の画家小出楢重を中心に、大正・昭和初めの同時代の画家たちを回想したものだった。

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 さらに京都帝大の考古学者の浜田耕作の「日本美術史研究」(座右宝刊行会、昭和16年3版)が目に入った。没後、後を継いだ梅原末治が博士の美術関連論文を集めて上梓したものだった。ともに安かったので購入。

 

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巻頭口絵「原田本 マリヤ十五玄義図」

 年配のご主人は、勘定の時「宇野浩二は、この近くに住んでいたのですよ。信号の先にあった銭湯によく来ていたのですよ」と、懐かしそうに思い出しながら、私に話しかけて来た。