モンゴル

モンゴルでの秘密交渉で想い出したこと

相変らず、密会場所はモンゴル・ウランバートルなのか。 学生時代、坂本是忠先生の授業で覚えているのは、 中ソ関係が悪化していた当時、両国の密使がこっそり会って、交渉するのが、 モンゴルだということだった。 モンゴルを見ていれば、緊張した中ソの動…

ヨルというヒゲワシを見損なった

モンゴルがまだ、社会主義だった頃、 北京から列車でモンゴルに入った。 ウランバートルで2泊した後、空港から飛行機で南下し、ゴビに向かい 1時間半ほどで、草原の天然空港に到着したのをよく覚えている。 ゴビの二日目に、タカを見に行くのだと、僕ら6…

トリプルA-鷹にも格があるようだ

偉大なるフィールドワーカー鳥居龍蔵が、明治44年に出版した「蒙古旅行」で、かわいいらしいタカの印を紹介している。 「鳥居龍蔵全集 第9巻」(朝日新聞社)に出て来た。 龍蔵は、東モンゴルの小巴林王府に至る途中ホトン・ヌ・アイラという村で、遼の時代の…

月に住む少女

モンゴルでは、月がどんな風に見られているか。探していた絵本がやっと見つかった。 ダシュドンドクの「父母私」で、ご覧の「月の上の娘」には、次のような文章が付いている。 《月の上に何がいる よく見れば 天秤棒で桶を運ぶ 小さな女の子 満月の上の 女の…

踏ん張れモンゴルのイケメン力士

先週、大相撲初場所初日を覗いた。 大入りで少し活気が戻ったようだ。琴奨菊、稀勢ノ里と日本生まれの力士が活躍しだしたせいもある。 幕内土俵入りがあって、西の2人目に随分男前の力士がいた。 間近に見て、いい男だなあ、と思った。 モンゴル出身の旭秀鵬…

富士山に香をたいたモンゴル老人のこと

神田にある先輩の事務所に行ったら、「面白い本があるぞ、読め」と「街道をついてゆく・司馬遼太郎番の6年間」を手渡された。 週刊朝日の連載『街道を行く』の、司馬の最後の担当者村井重俊の回想記だった。 パラパラくっていると、「モンゴルの年寄りが、…

カザフ鷹狩りの見事な写真に圧倒される

日本モンゴル協会発行の「日本とモンゴル」の最新号の表紙は興味深い。モンゴル西部の山岳地帯に住むカザフ人の鷹狩りの迫力ある写真が掲載されている。翼を広げたイヌワシの大きさ。右腕に止まらせている。 モンゴルのバヤンウルギーで、西村幹也さんが撮影…

モンゴル民謡を聴いた後

異動になった後輩を誘って、品川駅でビールを飲んで帰る。「探偵MONK」が始まる11時まで、家でレコードを聴くことにする。 まず、モンゴル民謡のシングル盤を聴く。モンゴルの長唄(オルティンドー)は、掛け値なしでいいものだと思う。ただし、古いレコ…

バヤルという絵描きさんと浜田真理子と

先輩たちと神保町で紹興酒を飲み、上海蟹を少し食べて、ほろ酔い加減で帰る。駅の近くの歩道橋で、ケータイで、満月を撮影している女性が居た。雲で、はっきり、月の陰影が見えないのに、大丈夫かなぁ、と思う。 家に戻って、猫を可愛がってから、「十五夜」…

モンゴルでも兎はちょっと傲慢?

実家を整理した時、モンゴル語を初めて教わった際の教材「基礎モンゴル語教本」が出てきた。親は、何故かこういうものを大事にとっている。 そうそう、一年生の僕らは、「はりねずみと兎」という短文を読まされた。うさぎ年生まれの僕は、イソップ寓話「うさ…

小倉山はモンゴル語由来か

墓は、嵯峨・小倉山の麓の小さな寺にある。次男坊なので、新たに設けたのだ。落柿舎も近いし、常寂光寺もご近所で、紅葉の季節はとりわけ美しい。 実は、この小倉山の OGURA が、古代モンゴル語の「山」AGULA に、由来するのではないか、 と推定し…

古代モンゴール語のG取り遊び 2

古代モンゴール語遊び=母音間のG音について、仮説の遊びを続けよう。 「春過ぎて夏来たるらし白たへの衣干したり天香具山」 記紀はもちろん、万葉集でも詠まれ、親しまれている天香久山も、G音の残存例で、当てはまると思っている。 KAGUYAMA は…

古代モンゴール語を日本古代に当てはめる

古代モンゴール語の特徴を、古事記や日本書紀の日本古代の名称に当てはめて愉しんでいる。 個人的には、古代モンゴール語遊びといっている。モンゴル語の権威、小沢重男先生は、12世紀までの古代モンゴール語には、母音間にGという子音があったと想定して…

モンゴル鷹狩りの決定的な違い

モンゴルでの映画撮影で見た馬に乗った鷹匠。 右腕にイヌワシをとめて、狩猟する。 イヌワシを用いたモンゴル西部のカザフ族の鷹狩りはHPで確かめることができる。 http://archive.news.sina.com.tw/%E7%8D%B5%E9%B7%B9-%E8%BF%8E%E6%96%B0-%E5%9C%96%E6%9…

訂正 モンゴルの梵天さんは

モンゴルで信仰を集めている「神さま」たちは、観光客の土産になっている。 マハーカーラ(大黒天=中央)や、ヤマーンタカ(大威徳怖畏金剛=右)が人気。(左は不明) 以前、「梵天さん」と紹介したものは、間違いだったので、訂正します。 梵天は、頭に法…

馬の水浴びに注意のこと

モンゴルの川は、水量も豊かだ。 夏の草原で、無謀にも、僕たちは、釣りに飽きて、川で水浴びをしたことがあった。 上流で、馬たちも、水浴びしているのも知らずに。 馬糞が大量に流れて来たのを見て、 皆、ウワーッと、叫びながら岸に戻った。 泳いで川の水…

モンゴル、沖縄の夕焼け

骨董好きだった知人の形見分けで、都心まで、石灯籠と五輪塔を取りに行った。石灯篭は実家(留守だった)の庭に勝手に置いて、夕陽の中帰宅した。 夏の夕焼け。夕焼けは、夏の季語なのだった。日本では夏の夕焼けが一番美しいから、ということらしい。 上の写…

猛暑に、毛だらけのヤクを想う

この夏の暑さは、全身毛で覆われる動物にとって厄介だ。といっても、わが家の猫のことだが、冷房を入れないことが多いので、陽の当たらない奥の部屋で、グタっと横になって居る。 写真はモンゴルの、ヤク(モンゴル語ではサルラク)。体中長い毛で覆われてい…

古地図で沖縄、モンゴルを探す

古地図は楽しい。上は、ビブリオ書店が神保町にあったころに見つけ、手に入れた「CHINA」(ロバート・K・ダクラス著、1887年ロンドン刊)の付録の古地図だ。 明治20年にあたる。 Loo-choo Is(琉球諸島)のokinawa shima…

万里長城で思ったこと

数年前に、楽しみにしていた万里長城に上った。 感想は、「作った方もたまらなかっただろうな、ふーっ」、だった。僕ら観光客は、深い谷を1人用リフトで上がったあと、屋根のないケーブルカーで急斜面を上がって行った。高所恐怖症の僕は、リフトの鉄パイプ…

落語同様、ラクダは危険な生き物である

三好達治の詩をまねて、モンゴルで「駱駝の瘤にまたがって」みたことがある。駱駝は、畳んだ足を伸ばして立ち上がる。馬と違って、駱駝は背が高いのだ、と今更のように、気付く。2メートル以上の、危ないと思う高さ。直ぐに駱駝を坐らせてもらい、降りた。 …

草原の雲

モンゴルの、雲の模様。下から2番目のように、ふたこぶラクダに似た雲の模様もある。遊牧の人たちには、雲が身近なラクダに見えるのだろうか。 一番上の真ん中の雲は、雨雲。草原では、遥か遠くからでも雨雲が見えて、こっちへ来るのか、外れて通り過ぎるの…

世界を支える亀

沖縄・コマカ島 おもろそうし、によれば、コマカの海で海亀やザン(ジュゴン)を海人が漁で捕まえたという。 ザンは無理だろうが、海亀くらい 見てみたいと僕は、コマカ島の浜で泳いでみたが海流が激しくて、沖に出ることは禁じられ、海亀は見つけようもなか…

牛や山羊が散策していた都市

120万都市になったモンゴルの首都ウランバートルは、車が渋滞する街に変ってしまったが、少し前までは、ごらんのように、牛が大通りを散策する都市だった。 飼い主の姿もなく、スフバートル広場の近くまで、牛や山羊の群れが自由気儘に歩いて通り過ぎた。 夕べには、…

ゾーンモドでの花摘み体験

モンゴルで、恥ずかしい体験をした。ウランバートルの南、ゾーンモドへ、遊びに行った夏のある日。 全山、高山植物が咲いていることに、興奮した細が、ルンルン気分で、数本の花を摘んだのだ。押し花にしようと、日本から持ち込んでいた週刊文春に挟んでいっ…

詩人ボヤンヒシグの青空を想う

美しいモンゴルの空と大地。 商業看板がない景観がいかに美しいか。モンゴルや、韓国の南部の農村地帯を旅した時に痛感した。CMのない世界は、寂しいけれど、美しいに違いない。 昔は、社会主義と資本主義が対立していて、世界は比較的単純だった。中国、…

蠍座とスペースシャトル

モンゴル草原に寝転がって、満天の星を見たのは、貴重な思い出だ。 加藤楸邨にモンゴルの句、 蠍座を戴くや包(パオ)灯りぬ さそりざを いただくや ぱお ひともりぬ という夏の句があるが、モンゴル草原の星は光が荒々しい上、日本では見えないような、小さ…

馬を家族のように思うこと

騎馬の民は、馬を家族のように大切にしている。 「チンギスカーン」というモンゴル製作の映画で馬を刃物で一撃で倒す場面、撒かれたマキビシの上を馬群が疾走し、次々に馬が倒れるシーンがモンゴル人観客の猛反発を浴びた、のを覚えている。 三重県の多度神…

モンゴル草原に道はなかった

モンゴル語には、そもそも道という言葉がなかった。 「ザム」という道を表す言葉はあるが、外来の言葉だという。 草原を馬で行くのに、決まった道は、そもそもなかったのだ。 次第にわだちが出来て、道のようなものとなった。 日本に生まれて、道なんて、あ…

モンゴルの道標

「オンドル・シレートまで、あと、31キロ」。 モンゴル草原の道しるべ。 この意味は、高いテーブル=オンドル・シレートという場所まで、あと、31キロの間、なにもないということだった。 行って知ったモンゴル草原の贅沢は、世界は本来、空と大地と、そ…